II.総合課税と分離課税
所得税は、各種の所得金額を合計した総所得金額について税額を計算し、確定申告によりその税金を納
める「総合課税」が原則ですが、ある一定の所得については他の所得金額と合計せず、分離して税額を
計算する「分離課税」となります。
【総合課税】
総合課税の対象となるのは、次の所得です。
(1)利子所得(源泉分離課税とされるもの及び平成28年1月1日以後に支払を受けるべき特定公社債等の利
子等を除く)
(2)配当所得(源泉分離課税とされるもの、確定申告をしないことを選択したもの及び、平成21年1月1日
以後に支払を受けるべき上場株式等の配当について、申告分離課税を選択したものを除く)
(3)不動産所得
(4)事業所得(株式等の譲渡による事業所得を除く)
(5)給与所得
(6)譲渡所得(土地・建物等及び株式等の譲渡による譲渡所得を除く)
(7)一時所得(源泉分離課税とされるものを除く)
(8)雑所得(株式等の譲渡による雑所得、源泉分離課税とされるものを除く)
(注)上記(4)、(6)及び(8)に係る所得の計算において、一定の先物取引による事業所得、譲渡所得及び雑
所得については、他の所得と区分して申告分離課税の方法により所得税が課されます。
【分離課税】
分離課税は、確定申告で本人が申告する「申告分離課税」と源泉徴収により納付される「源泉分離課税」
に分けられます。
申告分離課税制度となっている例としては、山林所得、土地建物等の譲渡による譲渡所得、株式等の譲
渡所得等、平成28年1月1日以後に支払を受けるべき特定公社債等の利子等に係る利子所得及び一定の先
物取引による雑所得等があります。
また、平成21年1月1日以後に支払を受けるべき上場株式等の配当所得(平成28年1月1日以後は特定上場
株式等の配当等に係る配当所得)については、申告分離課税を選択することができます。
源泉分離課税制度とは、他の所得と全く分離して、所得を支払う者がその所得の支払の際に一定の税率
で所得税を源泉徴収し、それだけで所得税の納税が完結するというものです。
源泉分離課税の対象となるのは、主に次の所得です。
(1)利子所得に該当する利子等(総合課税又は申告分離課税の対象となるものを除く。)
(2)私募の特定目的信託のうち、社債的受益権の収益の分配に係る配当
(3)私募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る配当
(4)懸賞金付預貯金等の懸賞金等
(5)次の金融類似商品の補てん金等
イ 定期積金の給付補てん金
ロ 銀行法第2条第4項の契約に基づく給付補てん金
ハ 一定の契約により支払われる抵当証券の利息
ニ 貴金属などの売戻し条件付売買の利益
ホ 外貨建預貯金で、その元本と利子をあらかじめ定められた利率により円又は他の外国通貨に換算して
支払うこととされている一定の換算差益
ヘ 一時払養老保険や一時払損害保険などの差益(保険や共済の期間が5年以下のもの、又は保険や共済の
期間が5年を超えていてもその期間の初日から5年以内に解約したものの差益に限ります)
(6)一定の割引債の償還差益
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