I.事業承継税制の平成31年度改正
平成31年度与党税制改正大綱が、昨年12月14日に決定しました。前号まで、平成30年度税制改
正のうち事業承継税制について触れてきましたが、31年度改正においても本税制に新たな措置が講じ
られましたので、ご紹介しておきたいと思います◆@贈与税の納税猶予における特例後継者である受贈
者の年齢要件を現行20歳以上であるものが18歳以上に引き下げられます。これは、民法の改正に伴
う措置であり、平成34年4月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税に適用されます◆A一
定のやむを得ない事情により認定承継会社等が資産保有型会社・資産運用型会社に該当した場合におい
ても、その該当した日から6月以内にこれらの会社に該当しなくなったときは、納税猶予の取り消し事
由に該当しないものとされます◆B非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予の適用を
受ける場合には贈与税の納税猶予の免除届出の添付書類を不要にする等、手続きの簡素化が行われます
◆上記三項目は、これまで触れてきた、非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について講
じられた措置ですが、新規に事業用の土地建物や減価償却資産を対象とする「個人版事業承継税制」の
概要が示されました。詳細は現在設計中のようですが、注目されるところです◆上記@については、特
例後継者の要件としてすでに取り上げたところであり、Aについては特例認定承継会社の認定要件とし
て詳細に触れたところでありますが、納税猶予の取り消し事由については今後触れる予定です。また、
Bについてはここまで贈与について考えてきましたが、手続きの簡素化はいずれにせよ歓迎すべきもの
といえます◆この平成31年度与党税制改正大綱は、今後、1月に召集される通常国会で審議され、年
度内の成立を目指すものと思われます。今年は、天皇陛下の譲位・統一地方選・参議院選挙が予定され
ていることから、通常国会の会期延長は困難であると思いますが、実のある論戦を期待したいものです。