V.ガーナ体験談 (7)
私はガーナで女子児童に放課後、手工芸を教える活動をしていました。その目的は、手に職をつけさせ て自立を支援することでした。 活動していく中、手工芸を教えるだけでは物足りず日本語の挨拶、歌や盆踊り、折り紙などの日本文化 を伝えることをカリキュラムに加えました。 外国人である私の活動に興味津々な野次馬ガーナ人たちが小さなコミュニティースペースに入れ替わり 立ち代わり訪れました。そこに12、3歳くらいの少年が度々顔を出すようになりました。この活動の対象 は女子児童だったため彼をメンバーに加えることができず、彼は活動の様子を覗いて帰るだけでした。 ある日の日本文化紹介で子どもたちに自分の名前をカタカナで書いてもらうことにしました。 私がガイドラインとして書いた点と点をつなぎ合わせて文字の練習をした後、新聞紙大の紙でかぶと折り、 その中心に自分の名前を書いてもらいました。 そこへ参加したそうにしていた彼を見つけ、その日だけメンバーに加えることにしました。彼の英語名 はエマニエル。学校に通っていないので自分の名前を英語でさえ書くことができないとの事でした。 しかし、彼はかぶとの真ん中にしっかりとカタカナで自分の名前を書くことができました。 その時の彼の自信に満ちた誇らしげな顔は今でも忘れません。(瀬戸 由美)