II.NISAの非課税期間が終わったら

2014年からスタートしたNISA(少額投資非課税制度)。 2014年に開設した口座は2018年末で5年の非課税期間が終了となります。その後は、口座内の金融商品を @翌年の非課税投資枠に移す(ロールオーバー)か、A課税口座に移すか、又は、B売却することを選 択することができます。 <ロールオーバーを選択した場合> ・2019年1月1日に、2018年12月の最終営業日の時価により、2019年分の非課税枠へ移管されます。  引き続き、5年間(2023年12月末まで)は配当金や売買益等が非課税です。 ・ロールオーバー可能な金額に上限はなく、時価が120万円を超過している場合も、そのすべてを翌年の  非課税投資枠に移すことができます。 ・NISA口座を開設している証券会社に、あらかじめ「非課税口座内上場株式等移管依頼書」を提出する  必要があります。 非課税期間が終了し、翌年の非課税投資枠にロールオーバーをした場合、ロールオーバーした額分だけ 非課税投資枠を使い、新規に投資できる額が少なくなります。ロールオーバーした金額が120万円以上の 場合、非課税投資枠を使い切ることになりますので、新規の投資はできないことになります。 ・別の証券会社のNISA口座へロールオーバーすることはできません。  NISAを利用する証券会社を変更している場合は、金融機関変更手続きを行い、当該年に利用した証券  会社に非課税管理勘定を設定してください。 ・NISAからつみたてNISAへのロールオーバーはできません。 <課税口座への移管を選択した場合> 2019年1月1日に、2018年12月の最終営業日の時価により、課税口座へ移管されます。 取得価額は2018年最終営業日の時価となり、その後生じた配当金や売買益等は課税されます。 非課税期間終了時点で保有資産が値上がりしているのか値下がりしているのかで、その後に課税口座で 保有している金融商品を売却する際に支払う税金に差が出てきます。 (ケース1) NISA口座で120万円で購入した株式が150万円に値上がりしていた場合、取得価格は150万円に変更されま す。その後、 @150万円から170万円に値上がりし売却した場合              → 利益の20万円(170万円−150万円)に課税されます。 A150万円から110万円に値下がりし売却した場合              → 利益がないので税金はかかりません。 (ケース2) 非課税期間終了時に保有資産が値下がりしていた場合は、とくに注意が必要です。 NISA口座で120万円で購入した株式が100万円に値下がりしていた場合、取得価格は100万円に変更されま す。その後、 @100万円から130万円に値上がりし売却した場合              → 利益の30万円(130万円−100万円)に課税されます。 A100万円から80万円に値下がりし売却した場合              → 利益がないので税金はかかりません。 ケース1では最初から課税口座で購入・売却した場合よりもNISA口座から課税口座へ移したほうが支払う 税金は少なく済みますが、ケース2ではNISA口座から課税口座へ移した場合のほうが支払う税金が多くな ってしまいます。

(税理士・CFP 廣崎 英子) HP:横浜の税理士 廣崎英子税理士事務所 ブログ:税理士 ときどき ランナー