I.資産保有型会社と資産運用型会社
前号では、特例認定承継会社の認定要件について触れてきました。今回は、非該当とされた、資産保有
型会社と資産運用型会社についてもう少し詳細にみていくことにします。弊社のクライアントにおいて
も、株価の評価が高い会社がこの類型に該当するため、特例の適用が困難であるケースが散見されます
◆まず、資産保有型会社とは、直前の事業年度開始の日から納税猶予の期限確定までのいずれかの日に
おける、(特定資産の帳簿価額の総額+B)÷(総資産の帳簿価額+B)の割合が70%以上の会社を
いいます。(B=判定日以前5年以内に後継者グループに対して支払われた配当及び過大役員給与の額
)。また、判定に用いる帳簿価額は会計上の金額となります◆前述した「特定資産」とは、次の資産を
いいます。①資産保有型会社・資産運用型会社に該当しない特別関係会社の株式以外の有価証券②現に
自ら使用していない不動産(第三者へ賃貸しているものを含む)③ゴルフ場その他の施設の利用権④絵
画・彫刻・工芸品・貴金属・宝石⑤現預金その他(保険積立金等を含む)、後継者グループに対する貸
付金・未収金等。ただし、上記③及び④については事業の用に供することを目的として有するものを除
きます◆次に、資産運用型会社とは、直前の事業年度開始の日から納税猶予の期限確定までのいずれか
の事業年度における総収入金額に占める特定資産の運用収入の合計額の割合が75%以上の会社をいい
ます。ここでの「特定資産」は、資産保有型会社の場合と同様です。◆ただし、次の①から③の事業実
態要件のいずれにも該当する場合には、例外的に特例制度を適用することができます。①常時使用従業
員が勤務する事業所等の施設を所有又は賃借していること②常時使用従業員数(特例後継者及びその後
継者と同一生計親族を除く)が5人以上であること③贈与時において、3年以上継続して自己の名義・
計算において商品の販売・資産の貸付(後継者グループに対するものを除く)・役務提供を行っている
こと◆次号では、贈与者・特例後継者の要件についてもう少し考えていきたいと思います。