I.特例認定承継会社の認定要件

前号では、事業承継税制の特例措置の適用を受ける要件について簡単に触れました。今回から、もう少 し詳細にみていきたいと思います◆まず、会社の要件についてです。特例認定承継会社の認定要件は以 下のとおりです。@中小企業者に該当すること。資本金と常時使用従業員数により該当するか否かの判 定を行いますが、業種により基準が異なるので注意が必要です。例えば、小売業であれば資本金が5千 万円以下又は常時使用従業員数が50人以下となっていますが、サービス業であれば資本金は同額の5 千万円以下ですが、常時使用従業員数は100人以下となっています◆続いて、A上場会社等に該当し ないこと。B性風俗営業会社に該当しないこと。C資産保有会社型会社に該当しないこと。D資産運用 型会社に該当しないこと。E直前事業年度以降の各事業年度の総収入金額がゼロ超であること。F常時 使用する従業員が1人以上いること。G特定特別関係会社が上場会社等、大会社、性風俗営業会社に該 当しないこと。H特別関係会社が外国法人に該当する場合には、常時使用する従業員が5人以上いるこ と。I後継者以外の株主に黄金株(拒否権付株式)を交付していないこと。となります◆補足すると、 B及びGの「性風俗営業会社」とは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に規定する性 風俗関連特殊営業に該当する事業を行う会社をいいます。Eについては、総収入金額には、営業外収益 ・特別利益を含みません。また、Fの常時使用する従業員とは、健康保険・厚生年金の被保険者、会社 と2ケ月超の雇用契約を結んでいる75歳以上の者をいいます。上記に該当すれば、親族の従業員も含 まれます◆Cの資産保有型会社とは、直前事業年度以降の各事業年度において、特定資産の帳簿価額÷ 総資産の帳簿価額≧0.7に該当する会社です。また、Dの資産運用型会社とは、直前事業年度以降の 各事業年度において、特定資産の運用収益÷総収入≧0.75に該当する会社です。C及びDの資産保 有型会社と資産運用型会社の判定については、次号で触れたいと思います◆なお、G〜Iについては、 やや複雑で個別の判定が必要になることから、今回は割愛させていただきます。

(起業コンサルタント 浦邊 謙佑) HP:ぜいりし.com 浦邊剛至税理士・行政書士事務所 ブログ:会計事務所の一日

II.消費税の軽減税率制度

平成31(2019)年10月1日から、消費税及び地方消費税の税率が8%から10%に引き上げら れると同時に、消費税の軽減税率制度が実施されます。 【軽減税率(8%)の対象品目】 ・飲食料品   飲食料品とは、食品表示法に規定する食品(酒類を除きます。)をいい、一定の一体資産を含みます。   外食やケータリング等は、軽減税率の対象品目には含まれません。   ・軽減税率対象     飲食料品(食品表示法に規定する食品)     人の飲用又は食用に供されるもの     テイクアウト・宅配等     有料老人ホーム等で行う飲食料品の提供   ・標準税率対象     酒類     外食 レストラン     ケータリング等     医薬品・医薬部外品等     一体資産(一定の一体資産は、飲食料品に含まれます。) ・新聞   新聞とは、一定の題号を用い、政治、経済、社会、文化等に関する一般社会的事実を掲載する週2   回以上発行されるもので、定期購読契約に基づくものです。 【事業者への影響】 ・飲食料品の売上げ・仕入れの両方がある課税事業者の方   売上げや仕入れについて、取引ごとの税率により区分経理を行うことや、区分記載請求書等を交付   する必要があります。 ・飲食料品の売上げがなくても、飲食料品の仕入れ(経費)がある課税事業者の方   仕入れ(経費)について、取引ごとの税率により区分経理を行う等の対応が必要となります。 ・免税事業者の方   課税事業者と取引を行う場合、区分記載請求書等の交付を求められる場合があります。   免税事業者からの仕入れについても、仕入税額控除を行うためには、区分記載請求書等の保存が必   要です。 【帳簿及び請求書等】 消費税率が複数税率となりますので、これまでの記載事項に加え、軽減対象資産の譲渡等である旨及び 税率ごとに区分して合計した税込対価の額を記載した請求書等(区分記載請求書等)を発行することや、 日々の経理において帳簿には軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨を記載することが必要となります。 軽減税率対策補助金事務局(中小企業庁)では、複数税率への対応が必要となる中小企業・小規模事業 者等が、複数税率対応のレジの導入や、受発注システムの改修などを行うに当たって、その経費の一部 を補助する軽減税率対策補助金による事業者支援を行っています。 消費税の軽減税率制度についての詳細は、国税庁ホームページ内の特設サイト「消費税の軽減税率制度 について」をご覧ください。

(税理士・CFP 廣崎 英子) HP:横浜の税理士 廣崎英子税理士事務所 ブログ:税理士 ときどき ランナー

III.QRコードでコンビニ納税

2019年1月4日以降、納付に必要な情報をQRコードとして作成・出力することにより、納付書がなくて もコンビニからの所得税、消費税、贈与税の納付が可能となります。 インターネットショッピングのコンビニ支払いと同様に、自宅等で作成・出力したQRコードをコンビ ニ店舗に持参しキオスク端末に読み取らせることにより納付書が出力され、レジで支払いを行うことが できます。 QRコードを作成するには、国税庁ホームページで、確定申告書作成画面で申告書を作成する際にQR コードの作成を選択するか、コンビニ納付用QRコード作成専用画面で必要な情報(住所、氏名、納付 税目、納付金額等)を入力し、PDFファイルを出力します。

(Webデザイナー)

IV.36協定の様式が変わります

36協定とは、「時間外労働・休日労働に関する協定」の略称です。労働基準法では、第36条で1日、 1週間の労働時間と休日日数を定めています。ただし、労使協定を締結し労働基準監督署に届出た場合 は、協定の範囲内の時間までは、法律で定める労働時間を超えて労働させることができるのです。 36協定の36(サブロク)とは、労働基準第36条をとってそう呼ばれています。その36協定の様 式が、2019年4月から新様式になる予定で、先般、その案が公開されました。 また、36協定には特別条項付協定というものがあります。通常は、時間外労働の限度基準があり、1 か月で45時間、1年で360時間となっています。ただし臨時的(一時的または突発的)に限度時間 を超えて残業を行わなければならない特別の事情が予想される場合に「特別条項付き」の36協定を締 結、労働基準監督署に届出をすることで、限度時間を超えて時間外をさせることができるというもので す。 従来は、36協定の様式に特別条項を追記すればよかったのですが、新様式は、一般の協定と特別条項 付の協定の様式が別になり、より細かく記載することになります。 まだ36協定を届出していない事業所もあるかと思いますが今後、働き方改革の施行にあわせ労働基準 監督署の調査が厳しくなると思われますので、今のうちに届出をしましょう。

(社会保険労務士)

V.ガーナ体験談 (5)

日本は島国で国境を体感することがないせいか私は国境に対して強い憧れを持っています。 ガーナは東はトーゴ、西はコートジボワール、北はブルキナファソに隣接していて、それぞれの国境に は門があり、私はその全てを体感してきました。ガーナの最北「パガ」という町にある国境のガーナ側 の門の上部には「BYE BYE SAFE JOURNEY」と書かれており、同じ門の反対側には「WELCOME TO GHANA」 と書かれていました。 その門から隣国ブルキナファソ側にある門までは数百メートル離れていて、その地域はグレーゾーンと 呼ばれ、両国の文化が入り混じっています。例えばフランスの植民地であったブルキナファソでは馴染 みのあるフランスパンはイギリスの植民地であったガーナではほとんど見かけないのですがここでは普 通に売られていて、ガーナでは見たことのないメーカーのビールやジュース等も売られていました。 また、ガーナの公用語は英語ですがブルキナファソの公用語であるフランス語を目にも耳にもしました。 その国境付近は公に写真を撮ることは禁止されているようでしたが、私は知らずに門を撮影し、国境警 備隊に見つかってしまいました。警備室へ連行され「カメラを没収する」と言われたのですが警備隊に 日本流の??土下座で謝罪をすると恐れおののき「さぁカメラを持ってとっとと帰れ!!」と言われ無 事にカメラと共に帰ることができました。

(瀬戸 由美)