II.クラウドファンディング型ふるさと納税

ふるさと納税の制度が始まって今年で10年になります。「生まれ育ったふるさとに貢献できる制度」、 「自分の意思で応援したい自治体を選ぶことができる制度」として創設されたふるさと納税ですが、得 られた資金がそれぞれの地域でさらに有効に活用されるよう「ふるさと起業家支援プロジェクト」及び 「ふるさと移住交流促進プロジェクト」が新たに立ち上げられました。 【ふるさと起業家支援プロジェクト】 地域経済の好循環の拡大が図られるよう、地方団体がクラウドファンディング型のふるさと納税を活用 し、起業家に対して資金提供を行います。 納税者(ふるさと未来投資家)は、応援したい起業家(事業)を選択してふるさと納税を行います。 地方団体は、ふるさと納税を財源に起業家へ補助を行います。また、各地方団体が独自に上乗せして補 助を行う場合もあります。上乗せする補助(いわゆるマッチングギフト的な補助)は、起業家にとって はふるさと未来投資家の支援のみに頼ることなく、より円滑に必要な資金を調達できること、ふるさと 未来投資家にとっては対象事業について地方団体としても支援の意思があることがわかりやすく、対象 事業に対する自らの支援がより大きな効果を生み出すことを実感できます。 起業家は、寄附者に対して、支援先の事業に継続して関心をもってもらうための工夫を行います。 【ふるさと移住交流促進プロジェクト】 ふるさと納税をきっかけとした継続的なつながりを持つ取組を通じて、将来的な移住・定住につなげま す。 納税者(ふるさと未来投資家)は、応援したい事業を選択してふるさと納税を行います。 地方団体は、ふるさと納税を財源に移住交流の促進に資する事業を実施します。人口減少、少子高齢化 が進む中で、長期的に移住・定住人口の増加を目指すためには、まずはその地域と様々な形で関わる地 域外の方々(いわゆる「関係人口」)を増やすことが重要であるとの考え方です。ふるさと納税をした 人に対して、定期的な事業報告や広報誌の送付、「ふるさと未来投資家」としての証書の発行や公共施 設利用における優遇、ホームカミングデー(ふるさと未来投資家が一堂に会し、まちづくりの意見交換) への招待などの取組を行うことが効果的とされています。また、地方団体は、寄附者をはじめとした移 住希望者に対して移住・定住対策事業を展開します。具体的には、空き家や古民家の再生による移住者 向け住宅等の整備、新規就業者・新規就農者のための環境整備が考えられます。 クラウドファンディング型ふるさと納税は、通常のふるさと納税と同様に寄附金控除を受けることがで きます。またプロジェクトによって、返礼品を受け取れるものもあるようです。使い道等、詳しくはプ ロジェクトオーナーである各自治体の担当部署へお問い合わせください。

(税理士・CFP 廣崎 英子) HP:横浜の税理士 廣崎英子税理士事務所 ブログ:税理士 ときどき ランナー