I.特例円滑化法認定の要件

事業承継税制の特例措置を考えるにあたり、「非上場株式に係る贈与税の納税猶予及び免除制度の特例 」について先に触れていきたいと思います。おそらく、この特例の活用を考えた場合に、現経営者にと っては贈与の方がイメージがしやすいのではないかと思われます。なお、要件については相続税の場合 と同一のものがあります◆まず、納税猶予を受けるための流れや手続きについてのおさらいをすると、 @特例承認計画の策定・提出・確認⇒A贈与の実行⇒Bその後の手続となります。前号では、特例円滑 化法認定⇒贈与の実行と書きましたが、この認定を受けるためには、そもそも論として、贈与の実行前 に都道県知事への特例承継計画の提出・確認が必要です。円滑化法の認定そのものについては、贈与が 実行され、贈与を受けた翌年の1月15日までにその申請を行う必要があります◆それでは、この制度 の適用を受ける場合の主な要件についてみていきます。(贈与の実行時に、先代経営者等である贈与者 から、全部又は一定数以上の非上場株式等の贈与を受ける必要がありますが、その点については後述し たいと思います。)まず、会社の要件、後継者(受贈者)の要件、先代経営者等(贈与者)の要件を満 たしていることについて都道府県知事の円滑化法の認定を受ける必要があります◆会社の主な要件とし ては、上場企業・中小企業者に該当しない会社・風俗営業会社・資産管理会社(一定の要件を満たすも のを除きます。)のいずれにも該当しない会社となります。後継者である受贈者の主な要件は、贈与の 時において、@会社の代表権を有しているA20歳以上であるB役員就任から3年以上を経過している C後継者及び後継者と特別の関係がある者で総議決権数の50%超の議決権を保有することとなること D後継者の有する議決権数が一定の要件に該当すること(後述します)となります◆先代経営者等であ る贈与者の主な要件は、@会社の代表権を有していたことA贈与の直前において、贈与者及び贈与者と 特別の関係のある者で総議決権数の50%超の議決権数を保有し、かつ、後継者を除いたこれらの者の 中で最も多くの議決権数を保有していたことB贈与時において、会社の代表権を有していないこと。と なります◆次号以降では、もう少し詳細に考えていきたいと思います。

(起業コンサルタント 浦邊 謙佑) HP:ぜいりし.com 浦邊剛至税理士・行政書士事務所 ブログ:会計事務所の一日