I.特例承継計画の作成
事業承継税制の特例措置が適用される要件について考える前に、納税猶予を受けるための流れや手続に
ついて、先に触れておきたいと思います。もちろん、この手続そのものも適用要件ですが、既に書式が
用意されていますから、記入を通じてなんとなくイメージができるのではないかと思います◆まず、贈
与税の納税猶予についてのおおまかな流れを確認しておきたいと思います。具体的には、@事業承継を
検討⇒A認定経営革新等支援機関に相談⇒B事業承継税制の特例を選択⇒C特例円滑化法認定⇒D贈与
の実行⇒Eその後の手続といった流れになります。このうち、Dの贈与の実行とEのその後の手続につ
いては、次号以降触れることにします◆@の事業承継の検討にあたっては、自社株の株価の算定や相続
税の試算を行う必要があります。当然ながら、この特例制度の適用を受けるべきかどうかの判断材料に
もなります。というよりも、この情報なしでは判断ができないといったほうが適切かもしれません◆A
の認定経営革新等支援機関については、顧問税理士でも経営革新等支援機関に認定されていれば問題あ
りません。一度確認しておかれればよいかと思います。Cの承継計画の策定にあたって、認定支援機関
が所見を記載する必要があるためです。また、ここで特例を選択するかしないかの判断の分岐点になり
ます。つまり、Bへ進むかどうかの判断はこの時点で行うことになります◆事業承継税制の特例を選択
した場合は、次のC特例円滑化法認定へ進みます。これは、認定経営革新等支援機関の認定を受けた者
による指導・助言に基づき特例承継計画を作成し、都道府県知事の認定を受けることになります。前段
で制度の選択するかしないかの分岐的になると述べましたが、実務上では、ここで具体的な内容を決定
することから、再度の確認を行うことになるかと思われます◆ここで押さえておきたいのは、特例承継
計画の提出は2018年4月1日から2023年3月31日までに必ず提出する必要があることです。ただし、その
逆に特例承継計画を提出したものの、結果として特例制度の適用期間内に贈与・相続がなかったとして
もデメリットはありません。