I.事業承継税制の改正

今回から、拡充された事業承継税制について具体的に考えていきたいと思います。当然のことながら、 従前の事業承継税制も存在するわけですから、平成30年度改正により、事業承継税制は現行制度(恒 久措置)と特例制度(時限措置)の二本立てになります。混乱を避けるために、拡充された税制につい ては「特例制度」、現行税制は「現行制度」と呼称することにします◆今回の改正では、10年間の特 例措置として、各種要件の緩和等を含む拡充が行われました。5年以内に承継計画を作成して贈与・相 続による事業承継を行う場合、猶予対象の株式を現行制度の3分の2から100%にし、さらに納税猶 予割合を80%から100%に引き上げることとしました。加えて、雇用確保要件を弾力化するなどの 措置が講じられています◆以上からお分かりのとおり、非常にざっくりした言い方をすれば、「5年以 内に計画し、10年以内に実行する」ことが必要です。具体的には、2018年4月1日から2023 年3月31日までに承継計画を提出、相続・贈与等の適用期限は2018年1月1日から2027年1 2月31日まで」となります。2023年3月31日までに承継計画を提出しないと、特例制度の適用 ができないことに十分注意が必要です◆そもそも、事業承継税制は、後継者である受贈者・相続人等が、 円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与または相続等により取得した場合において、そ の非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡 等により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度です◆拡充された特例制度に おいては、承継計画を策定し、適用要件を満たせば、上記のように納税猶予となる対象株数の制限が撤 廃され、さらに納税猶予割合の引き上げによって、現行制度と比較しても、納税額の軽減が可能となり、 円滑な事業承継につながるものです。次号から、もう少し詳しく見ていきたいと思います。

(起業コンサルタント 浦邊 謙佑) HP:ぜいりし.com 浦邊剛至税理士・行政書士事務所 ブログ:会計事務所の一日

II.災害関連税制が常設化

近年災害が頻発しているため、従来の災害減免法等の規定に加え、災害に対応するための税制上の規定 が平成29年から常設化されました。 以下の措置は、全ての災害に適用されます。 ・住宅ローン減税の適用の特例 ・財形住宅・年金貯蓄の非課税措置の特例 ・災害損失の繰戻しによる法人税額の還付 ・仮決算の中間申告による所得税額の還付 ・住宅取得等資金の贈与税の特例措置に係る居住要件の免除等 ・山林に係る相続税の納税猶予等の規模拡大要件の緩和 ・法人税・消費税の中間申告書の提出不要 ・被災酒類に係る酒税相当額の還付方法の簡素化 法人税・消費税については以下のような特例があります。 【災害により被害を受けた場合の法人税の特例】 災害により生じた損失の額は、その損失が生じた日の属する事業年度の損金の額に算入されます。また、 確定申告や中間申告を行うことで、過去に納めた法人税や源泉徴収された所得税が還付される場合があ ります。 【災害損失欠損金の繰戻しによる法人税額の還付 災害のあった日から1年以内に終了する事業年度において、災害損失欠損金額がある場合には、その事 業年度開始の日から1年(青色申告書の場合には2年)以内に開始した事業年度の法人税額のうち災害 損失欠損金額に対応する部分の金額について、還付を請求することができます。 注:災害損失欠損金額とは、棚卸資産や固定資産などについて災害のあった日の属する事業年度におい て災害により生じた損失の額のうち欠損金額に達するまでの金額をいいます。 【災害損失金額がある場合の仮決算の中間申告による所得税額の還付】 災害のあった日から6月以内に終了する中間期間において、災害損失金額がある場合には、仮決算の中 間申告において、控除しきれなかった所得税額の還付を受けることができます。 注:災害損失金額とは、棚卸資産や固定資産などについて災害のあった日の属する事業年度において災 害により生じた損失の額をいいます。 【被災代替資産等の特別償却】 特定非常災害として指定された災害については、発生日から同日の翌日以後5年を経過する日までの期 間内に、被災代替資産等の取得等をして事業の用に供した場合には、特別償却をすることができます。 消費税についても、災害により被害を受けた事業者が受けられる特例があります。 【災害等が生じたことによる簡易課税制度の適用(不適用)に関する特例について】 災害等が生じたことにより被害を受けた事業者が、当該被害を受けたことにより、簡易課税制度の適用 を受けることが必要となった場合、又は受けることの必要がなくなった場合には、税務署長の承認を受 けることにより、当該災害等の生じた日の属する課税期間から、簡易課税制度の適用を受けること、又 はやめることができます。 詳しくは最寄の税務署または税理士までお問い合わせください。

(税理士・CFP 廣崎 英子) HP:横浜の税理士 廣崎英子税理士事務所 ブログ:税理士 ときどき ランナー

III.Google Drive でデータ共有

データの保存方法としては、様々なものがありますが、Google Driveなどのクラウドストレージはどこ からでもアクセスできて便利です。 パソコンからGoogle Driveにアクセスすると、Webブラウザ上で「マイドライブ」にフォルダを新規 作成したり、ファイルやフォルダをアップロードしたり Googleドキュメント・スプレッドシート・スラ イドを作成、編集することができます。また、ファイルやフォルダを共有して、他のユーザーが表示、 コメント、編集できるようにすることができます。共有したいファイルやフォルダをクリックして「他 のユーザー」を選択し、名前またはメールアドレスを入力するとそのユーザーにメールが送られ、デー タにアクセスできるようになります。 Google Drive の他にも Dropbox・OneDrive等、多くのクラウドストレージサービスが存在します。容量 や料金設定等、使用目的に適したものを選びましょう。

(Webデザイナー)

IV.今後の労働関係の法律について

労働保険の年度更新手続きと社会保険の算定基礎届手続きが終了した社労士界ですが、働き方改革法案 成立や今後の法律改正に向けて勉強の日々です。 今回は労働保険と育児に関する今後の動向についてお伝えしたいと思います。 【建設業の有期事業の一括にかかる地域要件の廃止】 労働保険は本来事業ごと(建設業なら工事現場単位で)労働保険の成立の手続きをしなければなりませ んが、会社で加入する労働保険地域に隣接する都道府県等で行われ、1工事の概算保険料が160万円 未満であってかつ請負金額が1億8,000万円未満の工事については、「一括有期事業」として年1 回まとめて保険料を算定してよいとなっています。 この要件のうち、「隣接する都道府県等で行われ」という要件が平成31年4月1日より廃止になる予 定です。 【一括有期事業開始届の廃止】 また、一括有期事業を開始した際に「一括有期事業開始届」を提出しなければならないのですが、この 開始届も廃止となる予定です。 【育児休業の分散取得案】 内閣府で開催されている少子化克服戦略会議において、以下のような提言案が検討されています。 ・男性が育児をしやすくするために育児休業の分割などの弾力的な育児休業制度の検討 ・繁忙期の残業や夜勤など子育て中の家庭の多様な働き方を支援するため、企業主導型ベビーシッター 利用者支援事業についてその利便性の向上策についての検討 ・1時間単位の有給休暇取得を可能とする「時間単位年次有給休暇制度」の企業への導入の促進 まだまだ社労士をとりまく環境は熱くなっています。

(社会保険労務士)

V.ガーナ体験談 (2)

ガーナで生活を始めて間もなく「何曜日に生まれたか」尋ねられました。「生年月日ならともかく生ま れた曜日なんて知らない」と思ったのですが以前、母から私が生まれた日に病院の近くの学校で運動会 をしていたと聞いたのを思い出し「日曜日」と答えました。すると「あなたの名前はエシーだよ」と言 われました。 ガーナでは生まれた曜日によって決まった名前、ニックネームがあります。例えば日曜日生まれの男子 はケーシーで月曜日生まれの女子はアジョア、水曜日生まれの女子はククワ、金曜日生まれの男子はコ フィーというように…。 それを聞いて、元国連事務総長のコフィー・アナン氏は金曜日生まれだったんだと思いました。 さて、その日以来ガーナの友人たちから「エシー」と呼ばれその名前にすっかり慣れ親しんだ頃ネット カフェで改めて自分の生まれた曜日を調べてみました。すると月曜日であることが判明!運動会をして いたのは姉が生まれた日と勘違いだと分かりました。 今更「私はアジョアよ」とは言えずガーナ滞在の2年間「エシー」で通してしましました。 街で「エシー!ブラ」(現地語でcomeの意味)言われるとすぐに反応するまでになりましたがガー ナにエシーは数えきれないほどいるので半分以上は人違いでした。

(瀬戸 由美)