II.住宅宿泊事業法(民泊新法)とは?

個人が空き部屋などを有料で旅行者に宿泊させるいわゆる「民泊」は、一般的に、利用者の安全管理や 衛生管理、また、一定程度の観光サービスの提供等を伴うものですので、単なる不動産賃貸とは異なり、 その所得は、不動産所得ではなく、雑所得に該当します。 その民泊ですが、近年急増する訪日外国人観光客の多様な宿泊ニーズへの対応や、少子高齢化社会を背 景に増加している空き家の有効活用といった地域活性化の観点から期待が高まり、急速に増加している 一方、安全面・衛生面の確保がなされていないこと、騒音やゴミ出しなどによる近隣トラブルが社会問 題となっていることなどに対応するため、一定のルールを定め、健全な民泊サービスの普及を図るもの として、新たに住宅宿泊事業法(民泊新法)が制定されました。 民泊新法では、制度の一体的かつ円滑な執行を確保するため、「住宅宿泊事業者」「住宅宿泊管理業者」 「住宅宿泊仲介業者」という3つのプレーヤーが位置付けられており、それぞれに対して役割や義務等 が決められています。 【住宅宿泊事業者】 ・都道府県知事等への届出が必要 ・年間提供日数の上限は180日(泊)とする ・家主居住型の場合は、住宅宿泊事業の適正な遂行のため、衛生確保措置、宿泊者に対する騒音防止の  ための説明、近隣からの苦情への対応、宿泊者名簿の作成・備付け、標識の掲示等を義務付け ・家主不在型の場合は、住宅宿泊事業者に対し、上記措置(標識の掲示は除く)を住宅宿泊管理業者に  委託することを義務付け ・都道府県知事等は、住宅宿泊事業者に係る監督を実施 【住宅宿泊管理業者】 ・国土交通大臣の登録が必要 ・住宅宿泊事業の適正な遂行のため、衛生確保措置、宿泊者に対する騒音防止のための説明、近隣から  の苦情への対応、宿泊者名簿の作成 ・備付け等の代行と住宅宿泊管理業の適正な遂行のための措置として管理受託契約の内容の説明、契約  書面の交付等を義務付け ・国土交通大臣は、住宅宿泊管理業者に係る監督を実施 ・都道府県知事等は、住宅宿泊管理業者が代行する「住宅宿泊事業の適正な遂行のための措置」に係る  監督を実施 【住宅宿泊仲介業者】 ・観光庁長官の登録が必要 ・住宅宿泊仲介業の適正な遂行のため、宿泊者への契約内容の説明等の措置を義務付け ・観光庁長官は、住宅宿泊仲介業者に係る監督を実施 「住宅」とは次に掲げる設備要件と居住要件を満たしている必要があります。 ○設備要件…台所・浴室・便所・洗面設備 ○居住要件…「現に人の生活の本拠として使用されている家屋」「入居者の募集が行われている家屋」  「随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋」 人を宿泊させる日数として国土交通省令・厚生労働省令で定める180日の算定方法は以下のとおりとなり、 届出住宅ごとに算定します。  1年間 = 毎年4月1日正午から翌年4月1日正午まで  1日  = 正午から翌日の正午まで

(税理士・CFP 廣崎 英子) HP:横浜の税理士 廣崎英子税理士事務所 ブログ:税理士 ときどき ランナー