I.創業プランと消費税
ここまで何回かにわたって消費税の納税義務の判定について触れてきました。これから起業を考える皆
様や既に起業準備中の皆様であっても、起業初年度から消費税の納税義務が生じる場合があることなど
については、ご理解いただけたと思います。創業プランそのものにも消費税の納税義務の有無によって、
それを計画に組み込んでおく必要があります◆今回は、おさらいをしておきたいと思います。まず、消
費税の納税義務の判定は、@基準期間における課税売上高による判定⇒A特定期間中の課税売上高等に
よる判定⇒B相続・合併・会社分割等の特例による判定⇒C資本金が1000万円以上の新設法人の特
例⇒D特定新規設立法人の特例、という流れでした。そしてこのうち、Bについては起業にあたっては
割愛しました◆個人事業で起業する場合には、CとDについては判定の必要はありません。言い換えれ
ば、CやDについては、法人の場合のみ判定が必要になってきます。結果、個人事業で起業した場合に
は@の判定は、起業後3年目から行うことになります。従って、Aの判定によって課税事業者に該当す
れば起業後2年目から消費税の納税義務が生じることになります◆その一方、法人を新規設立して起業
する場合は、上記@からDの流れにそって判定を行います。実務上はC⇒D⇒Aの順で判定を行うこと
になりますが、この判定により、設立初年度や2期目から消費税の納税義務が生じる場合があります。
ただし、設立3期目からは基準期間がありますから、基準期間の課税売上高によって判定を行うことに
なります◆個人事業者が法人を設立し、その事業を法人が引き継ぐ、いわゆる法人成りの場合はどうで
しょうか。法人成りした場合、事業そのものは継続するわけですが、法律上は、個人事業を廃業して、
新たに法人として事業をするものとして取り扱いますので、新設された法人の納税義務の判定にあたっ
ては、個人事業者の時の課税売上高は考慮する必要はありません◆個人事業として起業した場合、法人
を新規設立して起業した場合、個人事業を法人化して法人成りした場合のそれぞれについておさらいを
しました。次号では、それぞれの判定の内容について簡単にまとめたいと思います。