II.医療費控除の改正のポイント
平成29年分の所得税確定申告の時期となりました。
平成29年分から適用される所得税の改正にスイッチOTC薬控除(セルフメディケーション税制)の
創設があります。
【スイッチOTC薬控除の特例】
健康の維持増進および疾病予防の取組を行う人についてスイッチOTC医薬品の年間合計購入額が1万
2000円を超える場合にはその超える部分の金額を合計所得金額から控除できます。
【特例の適用者】
特例が適用されるのは健康増進及び疾病予防の取組として以下の取組を行う個人です。
@メタボ検診A予防接種B事業主が行う定期健康診断C保険者が行う人間ドックDがん検診
【対象となるスイッチOTC薬】
コンタック鼻炎Z・エパデールT、ガスター10、アレグラFX,ロキソニンS、フェイタスZ、アレ
ジオン10等など1700種類以上もあります。
最新の情報は厚生労働省のHPで確認できます。
セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について
【所得控除額】
スイッチOTC薬の購入額−12,000円(88,000円限度)
もうひとつ大きな改正として医療費控除の領収書の添付が不要になり明細書の添付が必要になりました。
【医療費控除の明細書の添付】
平成29年分の確定申告から、領収書の提出の代わりに“医療費控除の明細書“の添付が必要となりました。
※医療費の領収書は自宅で5年間保存する必要があります。
また、税務署から求められたときは、提示又は提出しなければなりません。
【医療費通知書の添付】
セルフメディケーション税制ではなく、従来の医療費控除の適用を受ける場合には、上記の明細書に替
えて、医療保険者から交付される医療費通知書を添付すると明細の記入を省略することができます。
【どちらが有利か】
従来型の医療費控除とスイッチOTC医療費控除のどちらを選択した方が有利なのでしょうか。
まず、前提条件としてセルフメディケーション税制は申告を行う人が会社で行う検診などの一定の取組
を行っていないと使えません。
また、合計所得金額が200万円以上の人は支払った医療費額が10万円以下の場合通常の医療費控除
額は0円になります。
以上を踏まえた上で年収500万円の人が医療費全部で12万円、そのうちスイッチOTC薬が4万円
だったとすると、従来型の医療費控除額は2万円、スイッチOTC型の医療費控除額は2万8千円とな
りスイッチOTC型を使った方が有利になります。
どちらが有利になるかは使った医療費の額、そのうちのスイッチOTC薬の額など、所得金額によって
かわります。国税庁HPの確定申告コーナーで試算ができますので試してみてください。