II.配偶者控除が変わります

今年も年末調整の季節となりました。 【年末調整とは】 年末調整は給与所得者の1年分の所得税の精算を行う手続きです。 日本は申告納税制度をとっているので、本来所得税は自分で計算して申告・納付すべきものですが、給 与所得者については精算、納付の手間を会社が代わって行ってくれるのです。 これは、1年に一度の納税だと納税額が多額になるため、月々給与から源泉所得税として引くことで、 税金の徴収もれを防ぐとともに、税務署が大勢の給与所得者の確定申告に対応しきれないことから、会 社がその納税、税額計算の負担を肩代わりしている制度とも言えます。 【年末調整でできること】 本来、自分でやるべき所得税の精算を会社等が代理で行っているので、年末調整でできることは限定さ れています。 社会保険料控除、保険料控除、配偶者控除、扶養控除、2年目以降の住宅ローン控除などは年末調整で 行うことができます。 【年末調整でできないこと】 一方、医療費控除、寄付金控除、住宅ローン控除の初年度、配当控除などは年末調整ではできませんの で、自分で確定申告することが必要になってきます。 また、給与以外の所得があったり、不動産を譲渡したりした場合も自分で確定申告しなくてはなりませ ん。 【配偶者控除の変更】 平成30年分以降の所得税では配偶者控除等の改正があります。配偶者控除の適用を受ける納税者本人 の給与収入が1220万円を超える場合は配偶者控除が受けられなくなります。(現行は納税者本人の 所得に関係なく配偶者の給与所得が103万円以下なら適用あり) また、配偶者特別控除については配偶者の給与収入の上限が引き上げられます。しかし、納税者本人の 所得によって控除できる金額が異なる仕組みとなります。 つまり平成30年以降は、納税者本人の収入と配偶者の収入の両方の組み合わせで控除額が異なること になります。 【扶養控除申告書の提出について】 平成30年分の扶養控除申告書を年末調整と同時期に会社に提出する人も多いかと思います。 給与収入が1200万円前後の方が、今までどおり配偶者控除を受けるつもりで控除対象配偶者の欄に 記入して提出した場合、年末に給与収入が1220万円を超えていると配偶者控除を受けられなくなり 年末調整で税金が徴収されることになる場合がありますので注意が必要です。

(税理士・CFP 廣崎 英子) HP:横浜の税理士 廣崎英子税理士事務所 ブログ:税理士 ときどき ランナー