I．新規設立法人の消費税の判定
前号から、消費税の納税義務の判定について触れています。おさらいをすると、①基準期間における課
税売上高による判定⇒②特定期間中の課税売上高等による判定⇒③相続・合併・会社分割等の特例によ
る判定⇒④資本金が１０００万円以上の新設法人の特例⇒⑤特定新規設立法人の特例という流れでした
◆前回は①について触れましたので、今回から②以降について触れていきたいと思います。また、上記
のうち、③については、これから起業を考える皆様や起業準備中の皆様には基本的に関係がないと思わ
れますので割愛します。さらに、起業を前提とした場合④⇒⑤⇒②の順で判定を行うことになるため、
この順でそれぞれについて見ていくことにします◆①による判定では、基準期間の課税売上高が１００
０万円以下であれば、消費税の納税義務はありませんでした。新設法人の場合は基準期間そのものがな
いため、消費税の納税義務はないと思われるかもしれません。しかしながら、新設法人であっても、上
記④⇒⑤の判定に注意する必要があります。この判定に該当すれば、設立初年度から消費税の納税義務
が生じることになります。これが法人の形態で起業する場合の消費税についての注意点です◆まず、④
について見てみると、事業年度開始の日＝期首の資本金が１０００万円以上の新設法人は基準期間のな
い課税期間については無条件に消費税の納税義務が生じます。つまり、基準期間のない設立初年度及び
設立第２期は消費税の納税義務者になるということです。それ以降は、基準期間が存在しますからその
期間の課税売上髙により判定します◆法人の形態で起業する場合には、資本金をいくらにするのかによ
って、消費税の納税義務が生じるのか否かにかかわってきます。１０００万円未満の資本金で起業する
ことが、実務上はほとんどと思われますが、課税売上高が１０００万円超となっているのに対し、資本
金は１０００万円以上となっていますから、超と以上を勘違いしないよう注意が必要です。バカバカし
いことと思われるかもしれませんが、実際に起こりがちなこととも思えますので、あえて取り上げてお
きます◆このように、法人の形態で起業した場合は設立初年度であっても消費税の納税義務が生じる場
合があります。また、⑤⇒⑥の判定については少し複雑になりますが、次号以降で続けたいと思います。
（2017年12月号）