II.自営業の妻は社会保険上の扶養家族になれない?
少子高齢化がますます進むにつれて、日本の社会保障費は年に1兆円単位で増えています。
都道府県や同業種の企業が集まって組織される健康保険組合でも保険料収入がなかなか増えない中、支
出が増えて財務状況が悪化している組合も少なくありません。
そのためか、自営業の妻を扶養家族にすることについて、従前より厳格にしている健康保険組合が増え
ているようです。
そこで今回は健康保険組合が配偶者を扶養家族と認める場合についてまとめます。(あくまでも社会保
険上の扶養家族の事で、税法上の扶養家族とは基準が異なります。)
【配偶者が無職の場合】
配偶者が無職の場合にはほぼ全ての健康保険組合で扶養家族とすることを認めています。この場合、住
民税の非課税証明書の提出を求める組合もあるようです。
【配偶者がパートの場合】
配偶者の年間収入が130万円までの場合に、配偶者と扶養家族とすることを認めている組合が多いよ
うです。この場合の収入とは税金などが引かれる前の、額面額を言います。この場合には課税証明書の
提出を求められる場合があります。
【配偶者が自営業の場合】
配偶者が自営業の場合の基準は組合によってまちまちです。
@年間の収入から経費を引いた所得が38万円未満なら扶養家族と認める組合。
A収入から組合独自の算定方法で所得を算出し扶養家族と認めるか否か決めている場合。
B自営業者については収入にかかわらず一切扶養家族と認めない組合。
などがありますので、加入する組合に確認する必要があります。
個人事業での収入しかない場合、税法上の確定申告義務は課税所得がある場合だけですので、事業の内
容が趣味程度で経費を引いたら赤字になってしまうような場合で、そもそも事業とは呼べないような規
模でやっている場合は個人事業の開始届を出さないでいた方が有利な場合もあると思います。
【大企業に勤めている場合】
なお、妻がパートであっても、従業員が500人以上の企業で働いでいる場合で、月額賃金が
88000円以上等一定の要件を満たす人は自らの社会保健に加入する必要があります。
社会保険は、病気やケガなど何かあった場合に相互に助け合うための制度なので、保険料を払わない方
がいいとは思いませんが、世帯収入がなかなか上昇しない中、できるだけ有利な制度を検討することは
必要ではないでしょうか。