I.起業の流れ まとめ
ここまで起業について触れてきましたが、その流れについて大雑把にまとめておきたいと思います。こ
こでは、法人設立の場合を前提としていますが、もちろん個人事業からスタートするのも問題ありませ
ん。その際は、会社設立の項目は読み飛ばしてください◆起業のフェーズを大きく分けると起業準備と
起業後の会社経営になります。起業準備そのものが、後の起業後の会社経営に大きな影響を及ぼすこと
もありますので、どちらもおろそかにすることはできません◆まず何と言っても、最も重要なのが事業
計画書の作成です。作成方法等については過去何度か触れてきましたのでここでは割愛しますが、最初
は立派なものでなくても構いませんが、それをどの様にブラッシュアップするのかが大事です。あまり
に現実性に欠けるのも考え物ですし、その逆もしかりです◆事業計画が出来上がると起業のための資金
調達の方法を考えなくてはなりません。事業計画でどの程度の資金が必要なのかは明確になったはずで
すから、自己資金なのかその他なのか調達方法を検討します。予想できない不測の事態も考えて資金に
は余裕を持っておきたいものです◆いよいよ法人の設立です。現在では、会社の実態に沿った機関設計
が会社法上可能になりましたから、最も自社に適したものを選択すれば良いでしょう。あえて申し上げ
れば、消費税の関連で資本金の額には注意が必要です◆法人設立が完了した段階で、諸官庁に必要な届
出を行います。各届出を怠ったり遅延したために、税務上等で不利な取り扱いを受ける場合があります
から、うっかりに注意しましょう。心配な場合はそれぞれの官庁や専門家に相談すれば良いでしょう◆
いよいよ本格的なスタートです。継続的に事業を行うためには、営業や売上拡大などが不可欠です。こ
の辺りは事業計画書作成の段階で明確になっているはずですから、どんどん実行していきましょう。多
少の見込み違いは気にすることはありません。当初の事業計画に立ち戻れば、軌道修正の方法は容易に
見つかるはずです◆そして1期目が終了すると、決算と税務申告が待っています。この決算を通じて、
実績と目標の数値を比較検討することによって、今後の方針もより明確になっていくはずです。第1期
からいきなり黒字とはなかなかいかないでしょうが、それも計画のうちですから、前向きにとらえるこ
とです◆ここで注意しておきたいのが、経営上のトラブルがなかったかどうかです。大別すれば、お金
にまつわるもの、法律にまつわるもの、人事労務にまつわるものとなります。早めに対応すれば問題な
かったものが、放置したために大きくなってしまっては困りものです。早めに芽を摘むことが大事です。