V.伝統と社会的現象
「大相撲」と「将棋」。日本の伝統的な競技が、大変なことになっている。直近の人気を見る限り、も はや社会的現象と言っても良いだろう。ここ数年の盛り上がり自体でさえ目を見張るものがあったので あるが、とにかく「すごい」の一言に尽きる。 「大相撲」の名古屋場所での横綱白鵬の優勝インタビューには恐れ入った。冒頭で「皆さん、サンキュ ウ」と挨拶したのだが、今回の優勝が39回目であることにかけてのことだったのに気づくのに少し時 間がかかってしまった。用意の挨拶かと思いきや、場内の39というプラカードを見てのアドリブだっ たそうだ。 その後も、「うまい棒」という商品名を挙げて、インタビューするNHKのアナウンサーに別の表現で 訂正させるといった、いたずらっ子ぶりもおかしかった。公共放送で具体的な商品名は禁じ手なのだが、 横綱自らがその禁じ手を犯してしまったわけだ。 かたや「将棋」の世界では、史上最年少でプロとなった藤井聡太四段が歴代の連勝記録を更新してしま うという快挙を、プロ入り後無敗のままでやってのけてしまった。 いわゆる「勝負メシ」が非常に話題になったわけだが、対局の実況をするある番組では、解説者が藤井 四段と同じ食事を注文して、食レポを始める始末だった。その後、「この番組、将棋の番組として成り 立っていますか?」と心配する様子には腹を抱えて笑ってしまった。 将棋のルールを知らなくても、将棋の楽しみ方はいろいろあることにあらためて気づいた方も多かった はずだ。タイトル戦の報道では、対局者の昼食やおやつが必ず紹介されているのだから、注目を集める のは、僕から言わせればそれはむしろ当然だ。 ルールを知らなかったり、対局をしなくても、興味を持った時点であなたは将棋ファンの一人だ。イケ メン棋士や美しすぎる女流棋士を応援するのだって立派なファンだ。ちなみに、僕の推薦するイケメン 棋士は、東の王子こと中村太地六段と西の王子こと斎藤慎太郎七段。美しすぎる女流棋士は、香川愛生 女流と室谷由紀女流だ。(覆面ライター 辛見 寿々丸)