III.税務相談に答える人工知能
シンガポール税務当局のホームページ上では、納税者の質問に対して自動的に回答がなされるバーチャ ルアシスタントの試行版が導入されているそうです。自然言語を理解する機能を持った人工知能(AI)が、 納税者が入力した質問を理解し、あらかじめ用意されている回答例のデータベースから最も関連性の高 い情報を検索して提示してくれます。また、回答の満足度を利用者がフィードバックすることにより、 当該回答が適切なものであったかをシステムが自ら学習し、回答の精度が向上していく仕組みです。 日本の国税庁でも、将来的な税務行政のスマート化の構想の中で納税者の利便性の向上のため人工知能 の技術を取り入れていくと発表しました。メールやチャットなどの活用で税務当局と納税者等との相談 チャネルの多様化を目指しているとのことですが、相談内容をAIが分析することにより、自動的に最適 な回答を行うシステムの開発が検討されているようです。 これまでの納税者の利便性向上の取組としては、納税者が税務署に訪れて行う税務相談のうち、面接が 必要な個別・具体的な相談の場合は、待ち時間を解消するため事前予約制を導入。税に関する一般的な 質問・相談については、電話相談センターで集中的に受け付けるといった対応がなされてきました。平 成27年度には 約536万件の質問・相談が電話相談センターに寄せられたそうです。AIが税務相談に活用 され、納税者からの評価を同時に受けることで、回答内容がより適切なものになっていき、相談時間が さらに短縮されるとの効果が期待されます。(Webデザイナー)