I.創業にともなう届出について

今回は、創業にともなう届出についてです。前回では、創業の形態を個人にするか、法人=会社にする かについて触れました。この届出については、個人の場合と法人の場合で届出の種類が異なる上に、提 出期限が異なる場合があります。特に、提出期限が厳格に適用される届出がありますから注意を払う必 要があります。また、この届出は大別すると、税務に関するものと労務に関するものとがあります◆個 人の場合は、税務に関しては税務署に@開業届出書A青色申告承認申請書B給与支払事務所等の開設届 出書などの届出を行います。また、都道府県税事務所や市町村役場に事業開始等届出書(開業等届出書) の届出を行います。それぞれに提出期限がありますが、税務署に提出するAの青色申告承認申請書につ いては、事業を開始した日から2か月以内(事業を開始した日が1月1日から1月15日の場合は、3 月15日まで)に提出しなければ、その適用を受けることができません◆個人の場合の労務の届出は少 し複雑です。基本的には、従業員を雇用した場合に届出が必要です。年金事務所に健康保険・厚生年金 保険の届出をします。従業員5人未満の場合は任意加入ですから、加入しない場合は届出は不要です。 公共職業安定所・労働基準監督署に雇用保険や労災保険の届出を行います。この場合は、従業員を雇用 した時に適用事業所となります◆次に法人の場合は、税務署に@法人設立届出書A給与支払事務所等の 開設届出書B青色申告承認申請書などの届出を行います。また、都道府県税事務所(市町村役場)に事 業開始等申告書(法人設立・設置届出書)の届出を行います。こちらもそれぞれ提出期限がありますが、 税務署に提出するBの青色申告承認申請書は個人の場合と異なり、提出期限が設立3か月を経過した日 と最初の事業年度終了の日のうち、いずれか早い日の前日となっています◆法人の場合の労務は、健康 保険・厚生年金保険は強制加入ですから新規適用届などの届出を行います。公共職業安定所・労働基準 監督署については、個人の場合と同様です。また、従業員を10人以上雇用する場合は、就業規則の届 出も必要です。この他にも付帯する届出などがありますが、個別具体的な事情のある場合などは、それ ぞれの提出先に問い合わせた方が良いでしょう。

(起業コンサルタント 浦邊 謙佑) HP:ぜいりし.com 浦邊剛至税理士・行政書士事務所 ブログ:会計事務所の一日

II.個人事業主の予定納税額は変えられる

【予定納税とは】 個人事業主で前年の所得税が15万円以上である場合、その年の所得税及び復興特別所得税の一部をあら かじめ納付するという制度があります。この制度を予定納税といいます。 【通知】 予定納税がある場合、所轄の税務署長からその年の6月15日までに、書面で通知されます。 【納付】 予定納税は、前年の所得税納付額の3分の1の金額を、第1期分として7月1日から7月31日までに、第2 期分として11月1日から11月30日までに納めることになっています。 【予定納税の減免】 その年の6月30日の状況で所得税及び復興特別所得税の見積額が予定納税基準額よりも少なくなる人は、 7月15日までに所轄の税務署長に「予定納税額の減額申請書」を提出して承認されれば、予定納税額は減 額されます。 なお、第2期分の予定納税額だけの減額申請は11月15日までです(この場合には、10月31日の状況におい て見積ることとなります。) 【承認】 予定納税が承認されると、所轄税務署長から承認書が送付されます。 【消費税の場合】 消費税については、予定納税ではなく中間申告という制度が適用されます。 中間申告書の提出が必要な事業者は、個人の場合は前年、法人の場合は前事業年度(以下「前課税期間」 といいます。)の消費税の年税額が48万円(地方消費税を除く。以下同じ)を超える場合です。 前課税期間の消費税額が48万円超から400万円以下の場合年1回の中間申告が必要になります。納付額は 前課税期間の消費税額の2分の1です。400万円超から4,800万円以下の場合四半期ごとの中間申告が必要 になります。納付額は前課税期間の消費税額の4分の1です。 4800万円超の場合、毎月の中間申告が必要になります。納付額は前課税期間の消費税額の12分の1 です。 上記に代えて、「中間申告対象期間」を一課税期間とみなして仮決算を行い、それに基づいて納付すべき 消費税額及び地方消費税額を計算することもできます。 所得税の予定納税額も消費税の中間申告も予めわかっているものですので計画的に納税資金を用意するこ とが必要です。

(税理士・CFP 廣崎 英子) HP:横浜の税理士 廣崎英子税理士事務所 ブログ:税理士 ときどき ランナー

III.税務相談に答える人工知能

シンガポール税務当局のホームページ上では、納税者の質問に対して自動的に回答がなされるバーチャ ルアシスタントの試行版が導入されているそうです。自然言語を理解する機能を持った人工知能(AI)が、 納税者が入力した質問を理解し、あらかじめ用意されている回答例のデータベースから最も関連性の高 い情報を検索して提示してくれます。また、回答の満足度を利用者がフィードバックすることにより、 当該回答が適切なものであったかをシステムが自ら学習し、回答の精度が向上していく仕組みです。 日本の国税庁でも、将来的な税務行政のスマート化の構想の中で納税者の利便性の向上のため人工知能 の技術を取り入れていくと発表しました。メールやチャットなどの活用で税務当局と納税者等との相談 チャネルの多様化を目指しているとのことですが、相談内容をAIが分析することにより、自動的に最適 な回答を行うシステムの開発が検討されているようです。 これまでの納税者の利便性向上の取組としては、納税者が税務署に訪れて行う税務相談のうち、面接が 必要な個別・具体的な相談の場合は、待ち時間を解消するため事前予約制を導入。税に関する一般的な 質問・相談については、電話相談センターで集中的に受け付けるといった対応がなされてきました。平 成27年度には 約536万件の質問・相談が電話相談センターに寄せられたそうです。AIが税務相談に活用 され、納税者からの評価を同時に受けることで、回答内容がより適切なものになっていき、相談時間が さらに短縮されるとの効果が期待されます。

(Webデザイナー 三嶋 由紀江)

IV.年金を受け取るために必要な期間が変更になります。

国の社会保障・税一体改革において、年金を受け取れる方を増やし納めている年金保険料をなるべく年 金の支払いにつなげる観点から、平成29年8月1日より年金を受け取るために必要な期間(保険料納 付済等期間)を25年から10年に短縮されます。 資格期間(国民年金保険料を納めていた期間や免除された期間、サラリーマンの期間(船員保険を含む 厚生年金保険や共済組合等の加入期間)、年金制度に加入していなくても資格期間に加えることができ る期間「カラ期間」)が10年(120月)以上あると、年金を受け取ることができます。 ただし、年金額は納付した期間に応じて決まります。40年保険料を納付された方は満額を受け取れま すが、10年間の納付では、受け取る年金額は概ねその4分の1になるようです。 国民年金保険料を納付し忘れていた場合でも、過去5年以内であれば平成30年9月までは申し込みに より保険料を納めることができる場合(後納制度)があります。それをすることで、年金を受け取れる ようになったり、年金額が増えたりします。ご利用いただける方は次の1、2のいずれかに該当する方 です。 1.5年以内に保険料を納め忘れた期間がある方(任意加入中の保険料も該当します) 2.5年以内に未加入の期間がある方(任意加入の対象となる期間は該当しません) 注意:60歳以上で老齢基礎年金を受け取っている方は申込みできません。 気になる方は、まずは厚生労働省のホームページを確認してみてください。

(社会保険労務士 後藤 雅世) HP:後藤社会保険労務士事務所 ブログ:中小事業主と社労士受験生を応援する社労士日記

V.「TONYワールド」

「イソノさん」の助言によって、すっかり僕の車中は「東子ワールド」になったのであるが、やがてそ れも終焉を迎える。 きっかけは、同じく職場の同僚である「オニヨメ」が沢田知可子を推薦したからだった。彼女を代表す る楽曲といえば「会いたい」ということになるのだろうが、僕はどちらかといえば「忘れられない」と いう楽曲の方が好きだ。 作詞はどちらも沢ちひろなのだが、「会いたい」の作曲はチューリップの財津和夫、「忘れられない」 の作曲は彼女自身である。 曲作りを通じて、彼女の歌い手としての成長が感じられるのがその理由だ。そして、それが後にスマッ シュヒットする中西保志とのデュエット曲「幸せのドア」へとつながったのであろう。 そんな時、「会いたい」の作曲者である財津和夫の病気が伝えられた。ふと思い出したのは、やっぱり 「桜貝のシンちゃん」のことだ。彼の車中で流れていた楽曲で、かつて僕がひどく気に入ったバンドを 思い出したのだ。何度も思い出そうとしてもできなかったものが、一瞬でよみがえったのだから不思議 でならない。 そのバンドの名は「TONY」。チューリップのドラマーである上田雅利が中心となって結成したバン ドだ。 早速、彼らのアルバムを買った僕の車中が「TONYワールド」になったのは言うまでもない。 最後に、前号の小欄の担当者に注意をしておきたい。「定石」は囲碁の用語であり、将棋の場合は「定 跡」である。言葉には気を付けてほしい。自戒を込めて。

(覆面ライター 辛見 寿々丸)