II.源泉所得税の納付遅滞にご注意
年があけると、源泉所得税の納付、申告所得税の納付、消費税の納付と様々な納付が続き資金繰りが大
変になる事業主の方も多いと思います。
今回は源泉所得税の納付が遅れるとどうなるのか、遅れそうになった時にはどうしたらいいのかについ
てまとめます。
【源泉所得税の納付が遅れると】
源泉所得税は給与等を支払った月の翌月10日までに税務署に納税しなければなりません。
また半年ごとに納付する特例制度を利用している場合には1月〜6月分を7月10日までに、7月〜1
2月分を翌年1月20日までに納付しなければなりません。
源泉所得税を納期限までに支払えない場合、不納付加算税や延滞税というペナルティが課せられます。
(1) 不納付加算税
不納付加算税は納期から1日でも遅れると原則、納付税額の10%が課せられます。
しかし、税務署から指摘を受ける前に自主的に納付した場合には5%に減免されます。
(2) 延滞税
源泉所得税の納付が遅れると延滞税も課されます。
延滞税の計算方法は以下の通りです。
(平成29年1月1日から平成29年12月31日までの期間)
法定納期限の翌日から2ヶ月以内:納付すべき金額×2.7%×延滞日数
法定納期限の翌日から2ヶ月経過以降:納付すべき金額×9.0%×2ヶ月経過以降の延滞日数
【不納付加算税が免除される場合がある】
次の場合には不納付加算税は免除されます。
(1) 加算税の金額が5千円未満であるときは切り捨てれられます。
(2) 納期限の翌日から1ヶ月以内に納付して、かつ、その直前1年分について納付の遅延をしていないこと
【もし、遅れそうになったら】
直前1年間に遅延をしていないなら1か月以内に払いましょう。そうすれば不納付加算税はかかりません。
1か月以内に払えないようなら、税務署に電話しましょう。期限内に払えない理由や払えそうな時期を
言っておけば、2カ月ほど納入告知を待ってもらえる場合があります。
納入告知があると不納付加算税は10%になってしまいますが、告知前に自主的納付したとみなしても
らえれば5%のペナルティで済みます。
それ以上かかりそうな場合は税務署に行って納付の相談をしましょう。
源泉所得税の納付が遅れて何もしないでいるとと税務署から督促状が送付されます。
督促状が送付されてもなお納付されないときには、財産の差押えなどの滞納処分を受ける場合があります。
なお、国税を一時に納付することにより事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあり、かつ、
納税に対する誠実な意思を有すると認められるときは、猶予を受けようとする国税の納期限から6か月
以内に所轄の税務署に申請することにより、1年以内の期間に限り、換価の猶予が認められる場合があ
ります。
【クレジット納付】
平成29年1月から国税のクレジット納付が始まりました。クレジットカードによっては分割納付でき
る場合もあります。
(不納付加算税+延滞税)より(決済手数料+カード手数料)の方が少なくなる場合もありますので、
検討する価値は大いにあると思います。