I.仕入計画の基本と重要性
前回の販売計画に続いて、今回は仕入計画について取り上げたいと思います。仕入は、販売(売上)や
利益に直接影響する重要な項目です。サービス業など業種・業態によっては仕入という概念はないかも
しれませんが、仕入という形態ではなくとも、基本的な考え方は通じるものがありますので、おさえて
おく必要があります◆仕入計画を一言で表現すれば、「何を、どこから、どんな条件で、いつ」仕入れ
るのかということになりますが、それぞれについての検討が必要です。当たり前といえば当たり前のこ
とかもしれませんが、創業後に仕入計画をおざなりにしてしまったためにいらぬ苦労をするといったケ
ースもしばしば見かけてきました◆まず、「何を」については、販売戦略に沿った商品や売れ筋商品の
確保が可能かどうかを検討します。「何を」に関しては、そもそもの事業そのものにかかわってくるわ
けですから、いまさらという気がするかもしれませんが、商品の内容を深く吟味することにより、今後
の事業をより具体的にイメージするとともに明確化することができます◆次に、「どこから」について
は、必要な時期に、必要な商品を、安定して供給してくれる仕入先の確保が必要です。例えば、少量で
多種類の商品の仕入れが必要な場合などは注意が必要です。せっかくの販売の機会にその商品が欠品で
あったりということは、大手のスーパーでもよくあることで、悩みの一つになっています。いざ開業し
てみると、上記の3要素を満たす仕入先の確保は案外骨が折れることです◆さらに、「どんな条件で」
については、価格面は当然のことながら、決済方法が現金なのか、掛けは可能なのか、支払いサイトは
どうなっているのかを確認します。初めての取引の場合は現金での決済を求められることが多いと思わ
れますので、資金繰りにはある程度の余裕を持っておく必要があります◆最後の「いつ」については計
画的な仕入れが大切です。取引履歴が浅いうちは決済の条件が厳しいことが予想されるわけですから、
仕入の計画性は資金繰り上も重要です。なぜならば、過剰在庫は資金繰りを圧迫する代表例だからです。
自社にとっての適正な在庫を質や量の面から把握することはもちろんですが、金額面から把握しておか
なければなりません◆今回まで、日本政策金融公庫が公表している「創業の手引」に沿ってみてきまし
たが、次号では、その手引の最後に記載されている「創業の成功要素」を中心に進めていきたいと思い
ます。