V.「ソフト指し」

 今年も、この一年を振り返る時期がやってきてしまった。  個人的に一番嬉しかったことといえば、女流将棋界での高浜愛子プロの誕生だ。  負ければ即引退という極めて厳しい対局を制し、見事に女流プロ棋士の座を勝ち取ったのであった。  なんでも、最近は今年大ブレークした室谷女流とともに研究会を行っているようだ。  今年一番の将棋界の話題は史上最年少プロの誕生であったわけだから、こんな苦労人の活躍にはファ ンならずとも同僚の棋士たちからも賞賛の声はものすごかった感がある。この対極ともいえる棋士の生 きざまには感動を覚えずにはいられなかった。  そんな中、今期の竜王戦の挑戦者に決定した三浦九段に疑惑が持ち上がった。公式戦の対局中に将棋 ソフトを使用しているのではないかという疑惑だ。また、将棋ファンが集う対局サイトがあるのだが、 その参加者がいわゆる「ソフト指し」で数多く退会させられているという事実を初めて知ることになっ た。  ちなみに私も、確かめてみることにした。  結論だけを申し上げると「ソフト指し」と思われるものは存在する。ただ、将棋の棋力を向上させる という目的であれば将棋ソフトのこういった使い方もありなのではないかと個人的には思う。  近年の将棋ソフトの棋力の向上は目覚ましいものがある。プロのトップ棋士でも勝つことは容易では ないばかりか、負かされる。  三浦九段の場合はどうであったかはわからない。現在ではプロであっても研究に将棋ソフトを活用す る者は多いと聞く。将棋ソフトの利用=悪と決めつけるのは早計な気がする。コンピュータと人間を戦 わせる時代はもう過去のものではないだろうか。

(覆面ライター 辛見 寿々丸)