I.書き直しは成功への近道
以前、小欄でも「創業計画書(事業計画書)」の作成方法やその重要性について触れたことがありまし
た。今回も、日本政策金融公庫が発行する「創業の手引」にそってそのおさらいをしていきたいと思い
ます。くどいようですが、この計画書は事業を具体的に実現していくために必須のものです。金融機関
や取引先などの事業の協力者への説明資料としての役目はもちろんとしても、自分の考える事業が本当
に実現可能なのかを自分自身で確認する上で最も頼りになるものであるからです。何度も書き直すこと
になるでしょう。しかしながら、それは逆に成功への近道でもあります◆手引によれば、創業計画書作
成の手順は以下の通りとなっています。「1 全体の構想、事業イメージ」⇒「2 具体的な事業内容」
⇒「3 創業時の資金計画」⇒「「4 収支計画」。なんとなくイメージがしにくい部分があるかと思
いますが、1から4のすべてについて同公庫のホームページに様式と記入例が掲載されていますので、
これを利用することによって、自分が創業に際して考えていることをまとめることができるとともに再
確認することができるはずです◆前号では、「創業計画書」を作成した人たちの声をご紹介しました。
その中でも、作成してよかったこととして、「事業の内容や特徴を整理できた」という声が一番多かっ
たわけです。創業資金や創業後の収支が気になるのはもっともですが、なんといっても、スタートは「
事業の内容や特徴の整理」です。これらを定量化=数字化する作業が資金計画や損益計画にほかならな
いからです。創業後、修正すべき点が生じた場合にはこのスタートに戻って、事業の再構築を比較的容
易に行うことが可能なはずです◆創業後、計画通りにすべてが進むことは、むしろ「稀」と思ったほう
が良いでしょう。例えとしては適切ではないと思いますが、政府が国策として進めてきたことであって
もすべてが順風満帆なわけではありません。国家としての英知を結集した結果としても失敗も多々ある
わけですから。そんな時に立ち返って考えることのできるものがあれば、心強いはずです。初心云々と
いう言葉にもある通り、創業時の原点に戻って考えることができます。見込み違いや修正を恐れてはな
りません。