V.「聖の青春」
最近、将棋がブームらしい。にわかには信じがたいのだが、女子が中心となってファンが増えていると いうのだからチョッとビックリだ。なんでも火付け役はある漫画なのだそうだが、それだけが原因とも 思えない。 かくいう僕も将棋ファンの一人であるが、「将棋の魅力は?」と問われれば、どう答えてよいものかよ くわからない。単に強くなることを目指すのであれば、他のゲームでも構わないわけだし、自分自身、 将棋には「勝ちか負け」しかない極めてせつないゲームだと思っている。しかも、アマチュアレベルで あれば運が味方をしてくれることは稀だから、勝敗は実力通りの結果になってしまう。 それでも、人から「将棋を始めたいのだけれど」と相談されれば間違いなく勧める。特に子供であれば なおさらだ。 ということは、「将棋にはとんでもない魅力がある」という結論にしか結びつかない。単に強さや勝敗 だけを求めるわけでもなく、将棋というゲームを通じて学ぶべきことがたくさんあるからなのだろう。 しかも、それが楽しみながらであればなおさらだ。さらに、その楽しみ方は様々だ。別に対局をしなく ても十分に楽しむことはできる。僕自身も他人と対局することはほとんどない。 この秋には、「聖の青春」という映画が公開される予定だ。この映画を通じてまた新しい層のファンが 増えるのかもしれない。(覆面ライター 辛見 寿々丸)