I.創業準備前のチェックポイント
「夢を見る人ではなく、夢を叶える人になる。」日本政策金融公庫が発行している「創業の手引」の表
紙には、こんなコピーがあります。「稼ぎたい」「ワークライフバランスを充実したい」「社会貢献が
したい」「趣味や特技をビジネスにしたい」などなど、起業の動機は何でも構わないと思います。一番
大事なことは、夢を実現するという情熱とその継続です◆今回からは、この「創業の手引」を参考にこ
れまでのおさらいをしてみたいと思います。非常によくできた冊子ですから興味のある方は同行のHP
から入手することをお勧めします。ちなみに冒頭のコピーは、私自身が好んで使う「夢は見るものでは
なく、叶えるものだ」という言葉に限りなく似ていることから共感を持ったという事実も白状しておき
ます◆この手引には、創業準備前のチェックポイントとしてフローチャートが用意されています。以下、
それらを列挙します。創業動機は明確か⇒創業する事業について経験や知識はあるか⇒事業を継続して
いく自信はあるか⇒家族の理解はあるか⇒創業場所は決まっているか⇒必要な従業員は決まっているか
⇒セールスポイントはあるか⇒売上高や利益を予測してみたか⇒自己資金は準備しているか⇒事業計画
としてまとめてみたか、という10項目です◆フローチャートですから、それぞれの段階でYESある
いはNOを選択していくことになります。すべてYESであれば、準備完了。創業に向けてスタート。
という運びになります。すべてがYESとはいかなくても、どこかでNOの場合はその対応策が記載さ
れていますから安心です。NOの場合はその一つ一つを解決することで準備は完了です。とっても親切
かつ適切なものです◆ここで考えるべき点はたくさんあると思うのですが、いくつか触れてみます。こ
れら10項目の中で、個人的に最も大切だと思うのは「事業を継続していく自信はあるか」という点で
す。なんだか精神論のようですが、そうではありません。事業を継続していく中では、当然ながらいつ
も順風満帆とはいきません。多くの経営者が「継続は力なり」という言葉を好むのにはそれなりの理由
があるのです◆次に、「セールスポイントはあるか」という点です。必ずしも良い商品やサービス=良
く売れる商品やサービスではありません。いくら良い商品やサービスであっても、誰もそれを知らなか
ったり、販売方法や提供方法が不適切であったりすれば、それはもはやセールスポイントではなくなっ
てしまいます。次回へ続きます。
II.リフォームと税の優遇制度
新築住宅や一定の中古住宅を購入したときに、住宅ローン控除を受けられることはよく知られています。
しかし、リフォームをした場合にもローン控除や税額控除が受けられることは、あまり知られていない
ようです。
今回から4回にわたってリフォームに関する税の優遇策についてまとめます。
【住宅ローン控除(新築)】
まず住宅ローンを利用して新築または新築住宅を購入した場合の住宅ローン控除ですが、ローンの年末
残高の1%(注1)を所得税額から控除する制度です。
(注1 取得年度によって1%未満になる場合もあります。)
この制度を受けられる主な要件は次のとおりです。
@ 取得する住宅の床面積が50u以上
A 床面積の2分の1以上が自己の居住用
B 合計所得金額3000万円以下
C 10年以上のローン
また、所得税から控除しきれない場合には住民税から控除することができます(限度額あり)
【住宅ローン控除(中古住宅)】
中古住宅を購入した場合でも一定の要件にあてはまる場合には住宅ローン控除を受けることができます。
@〜C 新築の場合と同じ
D 築20年以内(マンションの場合は25年以内)
E Dに該当しない住宅であっても、耐震基準に適合する建物であること
F DEに該当しない場合であっても、取得前に耐震改修の申請をし、居住の日までに耐震基準に適合
する証明がある場合
耐震基準に適合しない建物であっても耐震リフォームを行うことによって住宅ローン控除が受けられる
場合があるのですね。
ただし、税の優遇制度を受けるための要件はかなり複雑ですので必ず専門家とご相談してください。
次回以降で中古住宅に増改築を行った場合やローンを利用しないでリフォームを行った場合の優遇策に
ついてまとめていきます。
III.ドメインの有効期限
ドメイン名を登録すると、登録した期間に限り、そのドメイン名を登録者が自由に使用できるようにな
ります。
有効期限が切れる前に更新手続を行うことにより、期間を延長することができます。
通常は、ドメインの有効期限が近づくとレジストラから通知がありますが、メールアドレスの変更等で
通知を受け取れなかったり見落としてしまうこともあるようです。
契約更新がされなかったドメインは、削除され、誰でも登録できる状態に戻りますが、「請戻猶予期間」
(Redemption Grace Period; RGP)という制度があり、ドメイン名の登録が登録者の意図しない形で削除
されてしまった場合、そのドメイン名を他人に再登録されてしまう前に請戻しできる期間が設定されて
います。
有効期限が切れてしまったドメイン名は、1年間自動更新され、45日間の「自動更新猶予期間」(Auto
Renew Grace Period)に入ります。
この期間内にレジストラがレジストリにドメイン名の削除申請を行えば、自動更新料がレジストリから
返金されるしくみになっています。
元の登録者は、ドメイン名が削除された後、30日の間にレジストラに請戻しの申請をすることによっ
て、ドメイン名を取り戻すことができます。この「請戻猶予期間」が過ぎると、5日間の「削除保留期
間」の後、レジストリによってドメイン名が削除され、他者による再登録が可能な状態となります。
ただし、レジストラによっては「請戻猶予期間」を採用していない場合もあるそうですので、有効期限
が切れる前に更新しておきたいですね。
ドメインの有効期限はWHOIS(インターネットレジストリが管理するインターネット資源の登録情
報を提供するサービス)で調べることができます。
(Webデザイナー)
IV.仕事と介護の両立支援
本年8月1日より、雇用保険から支給される介護休業給付金の支給率が40%から67%に増額されま
す。この改正により、育児休業給付の支給率と同じになりました。
また、仕事と介護の両立支援のために、平成29年1月1日より育児・介護休業法のうち、介護に関す
る部分が改正になります。
(1)介護休業の分割取得
現行、介護を必要とする家族(対象家族)1人につき通算93日まで、原則1回に限り取得可能とする
制度が、対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限として、介護休業を分割して取得できるよう
になります。
(2)介護休暇の取得単位の柔軟化
現行、介護休暇は、1日単位で取得でしたが、半日(所定労働時間の2分の1)単位での取得が可能に
なります。
(3)介護のための所定労働時間の短縮措置等の変更
現行、介護のための所定労働時間の短縮措置(選択的措置義務)について、介護休業と通算して93日
の範囲内で取得可能な制度が、介護休業とは別に、利用開始から3年の間で2回以上の利用が可能にな
ります。
(4)介護のための所定労働時間の制限(残業の免除)
現行、育児休業にはある所定労働時間の制限(残業の免除)が、介護休業についてはありませんが、介
護のための所定外労働の制限(残業の免除)について、対象家族1人につき、介護終了まで利用できる
所定外労働の制限の制度を新設することになります。
(社会保険労務士)
V.湘南の海、「真夏の出来事」
ある夏の早朝のことだった。電話の受話器を取ると、そこから聞こえてきたのは「ジミー」のダミ声だ。
彼からの電話はその時が初めてだったと記憶している。僕が用件を聞く間もなく、彼は切り出した。
「今日、そっち方面の海に行くよ」と。
僕の予定を確認するわけではなく、要するに付き合えということだ。ところが驚いたことに、その後も
何度かそんなことがあったのだが、「ジミー」から電話がある日に限って僕の予定表は空白なのだ。ま
るで僕の行動パターンを把握しているとしか思えない。
断る理由もない僕は、彼の言葉に快諾した。夏の湘南の海といえば混雑は必至だ。
おそらく、僕が穴場の存在を知っていると思っての電話だったのであろう。これまた偶然なのだが、当
時の僕はその穴場を見つけたばかりだったのだ。
何処で落ち合ったのかは忘れたが、彼の愛車を覗き込んだ僕は少しだけとまどった。
というのは、親友である「ショウ」はわかるのだが、後部座席に「レイコ」の顔があったことだ。僕の
知る限りでは、それまで「ジミー」と「レイコ」の交遊はなかったからだ。
それはともかくも、僕たちはその穴場なる海水浴場へと車2台で向かうことになった。穴場の定義は、
車が止めやすいことと水質が良いことの2点だ。もちろん、そんなに混雑もしていない。
帰りは「ショウ」のリクエストで横浜の元町で食事をすることになった。「ジミー」の愛車であるフラ
ンス車が元町の石畳に妙に溶け込んでいたことは言うまでもない。
でも、カーステレオから平山みきの「真夏の出来事」という楽曲が流れていたのは少し残念だった。そ
れでも、ばんばひろふみの「SACHIKO」よりはまだましだったかもしれない。
(覆面ライター 辛見 寿々丸)