II.不動産オーナー等の節税策を封じ込め

【消費税率アップ再延期】 消費税の10%アップは平成31年10月1日まで2年半再延期されることとなりそうです。 それにともない軽減税率やインボイス制度の導入時期についても不確定となりました。 一方、平成28年度消費税改正で予定どおり実施されてるものもあります。 【高額特定資産を取得した場合の特例の見直し】 平成28年4月1日以降に高額特定資産の仕入れ等を行った場合には翌々事業年度まで免税事業者や簡 易課税制度を選択することができなくなりました。  *高額特定資産とは一の取引の単位の税抜価格が 1,000 万円以上の棚卸資産または調整対象固定資産   をいいます。 これは、不動産オーナーや不動産建設・維持・管理等を目的とする特定目的会社等が課税事業者を選択 した上で、高額な資産を取得・建設し仕入れ税額控除の還付をうけ、翌年度以降に簡易課税制度を選択 してみなし仕入れ控除をうけたり、または免税事業者になって税金の納付を免除されるという節税スキ ームを防止するための改正と言われています。 この制度が適用されると高額特定資産を買った場合の翌々年度までは原則課税が強制適用されるため、 当該資産を売却した場合や管理・運営等から生じる課税売り上げについて、消費税の軽減をはかること は難しくなります。 これは平成22年度改正後も可能であった以下の節税スキームを封じ込めるものになっています。 @課税事業者選択から2年目を経過してから調整対象固定資産を取得し、翌期以降に免税事業者や簡易  課税を選択する場合 A高額な棚卸資産を取得して、本則課税で仕入税額控除を受け、翌期に当該資産を売却し、簡易課税制  度にて消費税額を計算する場合 そのほかにも 「免税販売の対象となる購入下限額の引き下げ」 免税販売の対象となる購入下限額について1万円超から5千円以上になる。(平成28年5月1日以後適用) 「電気通信利用役務の提供を受けた場合の内外判定基準の見直し」 等の改正が行われています。

(税理士・CFP 廣崎 英子) HP:横浜の税理士 廣崎英子税理士事務所 ブログ:税理士 ときどき ランナー