II.企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)

平成28年4月から企業版ふるさと納税制度がはじまりました。 【制度の内容】  地方公共団体による地方創生のプロジェクトに対して寄附をした企業に、税額控除の優遇措置を行い  ます。 【制度の流れ】 @地方公共団体が、「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」(以下活用事業)を企画立案し、企業に 相談を行い、寄附の見込みを立てます。 A地方公共団体から相談を受けた企業が、「活用事業」に対する寄附を検討します。 B地方公共団体が、「活用事業」を地域再生計画として内閣府に申請します。 C内閣府が、「事業」を認定・公表します。地方公共団体においても、「活用事業」を公表します。 D地方公共団体が、認定を受けた「活用事業」を実施し、事業費を確定させます。 E企業が、「活用事業」に対する寄附の払込みを行います。 F「活用事業」への寄附を受けた地方公共団体が、企業に対して領収書を交付します。 G企業が、Fの領収書に基づき、地方公共団体や税務署に対して地方創生応援税制の適用がある旨を申 告し、税制上の優遇措置を受けます。 【制度の効果】  企業版ふるさと納税は、寄付額の損金算入分と合わせて今までの約2倍の節税効果があります。 @法人住民税 寄附額の2割を税額控除(法人住民税法人税割額の20%が上限) A法人税 法人住民税の控除額が寄附額の2割に達しない場合、寄附額の2割に相当する額から法人住 民税の控除額を差し引いた額を控除(寄附額の1割、法人税額の5%が上限) B法人事業税 寄附額の1割を税額控除(法人事業税額の20%が上限) 【注意点】 @寄付金の最低額は10万円です。 A寄付できる地方公共団体に制限があります。  ・自社の本社が所在する地方公共団体への寄附については 対象となりません。  ・次の都道府県、市町村への寄附については、本税制の対象となりません。  @地方交付税の不交付団体である都道府県  A地方交付税の不交付団体であって、その全域が地方拠点強化税制の支援対象外地域  <平成28年度において対象外となる地方公共団体>    東京都、埼玉県戸田市、三芳町、千葉県市川市、浦安市、東京都23特別区、立川市、武蔵野市、    三鷹市、府中市、調布市、小金井市、国分寺市、多摩市、羽村市、瑞穂町、神奈川県鎌倉市、    藤沢市、厚木市、寒川町 Bまち・ひと・しごと創生寄附活用事業」へ寄附を行うことの代償として経済的な利益を受け取ること は禁止されています。 【熊本大地震への義援金】  震災に対する義援金は、熊本県への寄付(ふるさと寄付金)と同様に損金算入の取扱いを受けること  ができます。 【被災した取引先への災害見舞金】  法人が得意先、仕入先等社外の者の慶弔、禍福に際して支出した金品等の費用は、交際費等として取  り扱われますが、取引先に対する災害見舞金等については、法人が被災前の取引関係の維持、回復を  目的として災害発生後、通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間内にその取引先に対し  て行った災害見舞金の支出又は事業用資産の供与若しくは役務の提供のために要した費用については、  交際費等から除かれます。

(税理士・CFP 廣崎 英子) HP:横浜の税理士 廣崎英子税理士事務所 ブログ:税理士 ときどき ランナー