II.平成27年分確定申告の所感

平成27年分の確定申告が終わりました。 弊社の関連先の申告書作成においては、次のような傾向がありました。 ・ふるさと納税の利用者が増えた ・医療費控除の利用者が増えた ・所得拡大税制の該当者が増えた ・贈与税の申告が増えた ・住宅ローン控除利用者のうち特定取得に該当する人が多かった ・消費税の税額が増えた それぞれの制度の内容と利用が増えた理由について考えてみたいと思います。 【ふるさと納税】 自己負担額の2,000円を除いた全額が控除される限度額である「ふるさと納税枠」が、平成27年1月1 日以降、約2倍に拡充されました。 この影響とふるさと納税制度の特典の充実化からふるさと納税制度をつかって寄付を行う納税者が格段 に増えました。 【医療費控除】 今年は医療費控除を受ける納税者の方が多くいました。昨年、特に大流行した病気などはなかったと思 いますし、その理由は不明ですが平成27年から所得税の最高税率が上がったり、平成28年には給与 所得控除の縮小が控えていることなどから少しでも税負担を減らそうという方が増えたのかもしれませ ん。 【所得拡大税制】 雇用者の給与が増大したときに税額控除を受けられる制度ですが平成27年から適用要件が緩和されま した。この結果、親族以外の従業員を雇用する個人事業主で適用を受けることのできる人が増加しまし た。 【贈与税】 平成27年1月1日から相続税の増税があったことと、直系尊属から子・孫への贈与があった場合の税 率が軽減されたことから、生前贈与を行う人が増加しました。 【住宅ローン控除】 平成26年以降、8%の消費税を含む対価で住宅を取得した場合に控除限度額が40万円になる特定取 得に該当する納税者が増えました。 【消費税額】 平成26年4月1日から消費税が8%にUPしたことに伴い、丸一年8%適用となる平成27年分の消 費税の税額が増えた事業者の方が多くいました。 全体的に見て、所得税・消費税とも増加したお客様が多かったのは年末までの株高と消費税アップの影 響も大きいと思います。年明けからの株の値下がりと、平成29年の消費税増税を控えて今年はどうな るのか、注意深く見ていく必要がありそうです。

(税理士・CFP 廣崎 英子) HP:横浜の税理士 廣崎英子税理士事務所 ブログ:税理士 ときどき ランナー