II.相続対策(その8)小規模宅地の特例を活用しよう
〜貸付事業用宅地〜
前回、前々回に引き続いて相続が発生した場合に、税額を軽減できる「小規模宅地の特例」という制度
についてご説明します。
今回は被相続人の貸付事業用の宅地について適用できる制度をご紹介します。
「貸付事業」とは、「不動産貸付業」、「駐車場業」、「自転車駐車場業」及びこれに類する行為で相
当の対価を得て継続的に行う「準事業」をいいます。なお、使用貸借により貸し付けている場合には対
象とはなりません。
【対象となる宅地】
相続開始の直前において被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等で、適用要件に該当する親族
が取得したものをいいます。
【特例の適用要件】
(1)被相続人の貸付事業の用に供されていた宅地等
被相続人の貸付事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、貸付事業を行い保有していること。
(2)被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の貸付事業の用に供されていた宅地等
相続開始の直前から相続税の申告期限まで、貸付事業を行い保有していること。
【減額される割合】
(1)特定同族会社事業用宅地等(貸付事業を除く)に該当する宅地等
限度面積 400平米まで 減額割合 80%減額
(2)特定同族会社以外の一定の法人に貸し付けら れ、その法人の事業の用の宅地
限度面積200平米まで 減額割合50%減額
(3)被相続人等の貸付事業用の宅地等
限度面積200平米まで 減額割合50%減額
*「一定の法人」とは被相続人及び親族等が法人の発行済株式の総数の50%超を有する法人をいいます。
【空き室がある場合】
空室があるアパートついては、入居者を募集しているなど、いつでも入居可能な状態に管理している場
合は、貸付事業の用に供されているものと認められます。
【青空駐車場】
この特例は被相続人等の宅地が建物又は構築物の敷地の用に供されていることが必要となります。
舗装されていない青空駐車場については、特例の適用を受けることができません。
(注)@対象となる小規模宅地が複数ある場合は、複数の土地の適用が可能ですが、
適用面積については一定の面積制限があります。
A相続開始前3年以内に贈与により取得した宅地等や相続時精算課税による贈与財産については
この特例の適用を受けることはできません。
B特例を受けるためには、税金がゼロでも申告が必要です。