I.経営分析にチャレンジ
前号、前々号で「損益計算書」と「キャッシュフロー計算書」を取り上げました。今回は、この「キャ
ッシュフロー計算書」と「損益計算書」について若干の補足を加えておきたいと思います。内容的には、
以前小欄で取り上げた「事業計画書」の中ではあまり詳しく触れることができなかった項目についてで
す◆日本政策金融公庫のホームページに公開されている「創業計画書」には「必要な資金と調達方法」
・「事業の見通し」という欄があります。今回取り上げている「財務諸表」とは様式は異なりますが、
前者は「キャッシュフロー計算書」、後者は「損益計算書」に内容的には類似しています。この公開さ
れている様式を組み替えることによって、目標とする「キャッシュフロー計算書」や「損益計算書」を
作成することが可能ですから、ぜひチャレンジしてみることをお勧めします◆起業後の実績を財務諸表
によって把握することは大事ですが、その前提となる目標なくして実績を達成することは困難です。そ
ういった意味からも、過去の実績である「損益計算書」や「キャッシュフロー計算書」と目標とする「
損益計算書」や「キャッシューフロー計算書」の数値を比較・分析することは経営上非常に有益である
とともに、今後の経営戦略を明確にすることができます◆例えば、売上・利益とも目標に達したけれど
も、資金繰りは厳しかった場合であれば、その原因は「キャッシュフロー計算書」によりキッチリ分析
することができます。経営計画達成のためには利益計画と資金計画の両輪がうまく回転することによっ
て、はじめて可能になります。以前も申し上げたように、完璧を求める必要はありませんし、現実的に
はそれはほとんど不可能なことですから、決して悲観する必要はないのです◆目標を数値として計画し、
それを財務諸表で把握し、問題点や改善点を見つけ、今後の経営戦略を策定してそれを実行する。この
繰り返しによってのみ会社の体質は強くなっていくといっても過言ではないと思います。問題点や改善
点を戦略的に解決していく作業こそが、経営の醍醐味であり、経営者としての腕の見せ所でもあるので
すから。次号では、少し注意すべき点について触れたいと思います。