I.損益計算書
今回は、損益計算書についてです。「損益計算書」は、一会計期間の収益と費用・損失の状態を表しま
す。営業活動や投資活動でどのように利益が生み出されたのかを、収益項目と費用・損失項目に区分し
てわかりやすく表示しています。単に利益がいくらというだけでなく、その発生原因が把握できるよう
にそれぞれの項目を区分して表示しているため、経営上の有用な情報を得ることができます◆損益計算
書では利益を5段階で表示します。第1段階は売上総利益です。この売上総利益は粗利と呼ばれること
もありますが、売上高から商品や製品等の原価を差引いたものです。第2段階は、営業利益です。売上
総利益から給料、交通費などの販売費や一般管理費を差引いた営業活動から生じた利益を表示します。
第3段階は、経常利益です。営業利益に受取利息や支払利息等を加減した会社の経常的な活動から生じ
た利益を表示します◆第4段階は、税引前当期純利益です。経常利益に通常の年度では発生しない臨時
的な利益や損失を加減した利益です。そして第5段階が、当期純利益です。税引前当期純利益から法人
税・法人地方税・法人事業税などの税金を差引いた会社の最終的な利益を表示します。以上のように5
段階で利益を表示しているため、利益の発生原因が一目瞭然で把握できるわけです◆それでは、経営者
としてどの段階の利益に注目すべきなのでしょうか。結論から申し上げればすべてです。それぞれの段
階の利益を前期や前々期のものと比較・分析することによって、より有益な情報を得ることができると
ともに今後の戦略立案も可能です。例えば、売上総利益が減少した場合は、売上が減少したか、それと
も売上は増加したものの売上総利益率が下がったかのいずれかです。また、営業利益が減少したのであ
れば、売上総利益が減少したか、販売費や一般管理費が増加したことなどが考えられます◆とはいえ、
やはり最も注目すべきは経常利益です。この利益は会社の経常的な活動により生み出された利益ですか
ら当然といえば当然かもしれません。注意点としては、災害や設備の処分など単年度の損失が大きかっ
た場合にはきちんと特別損失として区分しておくことが重要となってきます。また、税金については当
期純利益を減らす項目となります。つまり、節税によりこの利益を増やすことも可能です。ただし、利
益を計上してこそのものです。