I.財務諸表の活用

今回からは、「財務諸表」について触れたいと思います。決算や申告に際して、貸借対照表や損益計算 書、キャッシュフロー計算書、株主資本等変動計算書が必要になります。これらの書類を総じて「財務 諸表」と呼びます。この中で経営者にとって特に重要なのは、損益計算書と貸借対照表です。私たちが 決算の際に経営者の方に必ずご説明させていただくのが、損益や財務の状況なのですが、これらの情報 は損益計算書と貸借対照表にほぼ集約されているといっても過言ではありません。従って、この二つの 読み方と使い方をマスターすれば良いということになります◆貸借対照表には、決算日現在の資産や負 債、資本金などが網羅されています。資産や負債については流動性の高いものから順に区分表示されま す。資本は負債の下に表示されますが、この資本には元手となった資本金をはじめ、これまでに生み出 された利益も表示されます。また、損益計算書は、一会計期間の利益がどのように生み出されたかがわ かるように作成されます。売上やその原価だけでなく、毎月かかる費用などが区分表示されます。さら に、予期せぬ利益や損失の金額を分けて表示することにより、その発生原因が判明しやすくなります。 これだけではイメージしにくいと思いますので、それぞれのサンプルを次号以降で掲載する予定です◆ 「貸借対照表と損益計算書をマスター」と申し上げましたが、それだけではお金の流れが見えにくいと いう問題点があります。キャッシュフロー計算書は、手元の現預金等が会計期間中にどのようにして生 み出されたのかがわかる計算書です。お金の流れを項目に分類して表示するため、利益は上がっている のにお金がないといった場合の原因が一目瞭然で分かります。この計算書は貸借対照表と損益計算書か ら作成されますから、やはり「貸借対照表と損益計算書をマスター」が大事ということになります。株 主資本等計算書については、特殊な場合を除いて重要度は高くないため、説明は割愛します◆財務諸表 は、一般的に決算書とも呼ばれます。法人税や所得税の確定申告書に添付することをはじめとして、そ の使途が非常に幅広い、会社にとって非常に重要な書類です。例えば、銀行借入の際は提出が必須なも のであり、場合によっては取引先から開示を求められることもあります。財務諸表についての知識を活 用して、会社目標を達成させることが経営者の腕の見せ所でもあり、醍醐味でもあります。次号以降、 詳細について触れたいと思います。

(起業コンサルタント 浦邊 謙佑) HP:ぜいりし.com 浦邊剛至税理士・行政書士事務所 ブログ:会計事務所の一日