I.経営者の会計知識
今回からは、起業後に経営者として最低限押さえておきたい会計知識やその隣接分野について触れてい
きます。まず申し上げておきたいのは、「会社経営者は、会計や財務の知識は完璧でなければならない」
と思っているのであれば、それは大きな間違いです。よく会社設立にあたり、会計に関する書籍を読み
あさったり、簿記の勉強を始めたりする光景を目にしますが、それこそ時間の無駄です◆最低限の知識
は必要とはいえ、経営者のなすべきことは他にたくさんあります。売上を上げることや顧客満足、会社
の将来へわたっての戦略策定など挙げればきりがありません。「会社が現在どのような状況にあり、今
後どのようなことが予測されるのかを、数字=お金で把握」できればまったく問題ないのです。書類作
成を自分自身で行う必要はなく、専門家に任せ、その結果の説明を受け、自分の知りたい情報について
質問すればよいのです◆とはいえ、起業したばかりの経営者にとっては、説明を聞いてもチンプンカン
プン、さらに何を質問したらよいのかもわからないという不安もあるでしょう。しかし、そんな不安は
杞憂です。具体的には財務諸表や試算表といった書類に落とし込んでいくことになるわけですが、自分
の経営する会社ですからその事業内容については熟知しているはずです。月次で説明を受けるごとに書
類の内容についての理解もより深くなっていきます。他社の書類を見るとなればそれ以上の知識が必要
となるかもしれませんが、そのような場合でも専門家の説明があれば理解できるようになっているはず
です◆経営者の仕事は、財務諸表や試算表などを使い、経営のかじ取りをしていくことにあります。書
類作成は外注できても、経営者の仕事を外注することはできません。書籍には「会社を経営するには簿
記くらい知っていなければならない」なんてことが書いてあったりします。ここでいう簿記とは、簿記
という手法によってできあがった財務諸表なり試算表を活用できるかどうかということです。決して、
簿記をマスターするために日商簿記3級の勉強から始めなさいということではありません。しっかりと、
経営者としての仕事で力を発揮していただきたいと思います。次号へ続きます。
II.相続対策(その6)1次相続・2次相続の連携
財産を一代抜かして相続させることによりトータルでの相続税負担を軽減できる場合があります。
【内容】
通常の相続であれば配偶者と実子に相続させる財産を、一代飛ばして孫世代に相続させることによりト
ータルでの相続税負担を軽減します。
【効果】
(パターン1)配偶者Bと子Cが法定相続分とおりに相続する場合
相続財産2億、
1.A死亡時にはBとCが1億ずつ相続(Bは配偶者の軽減を法定相続分まで適用)
2.B死亡時には1億をCが相続
3.C死亡時には2億をEが相続
(パターン2)配偶者Bと子Cと孫Eが均等に相続した場合
相続財産2億、
1.A死亡時にはBとCとEで6,666万円ずつ均等に相続
(Bは配偶者の軽減を法定相続分まで適用)
2.B死亡時にはCとEで3,333万円ずつ均等に相続
3.C死亡時には9,999万円をEが相続
(パターン3)A死亡時に孫Cが一人で全て相続した場合
相続財産2億、
1.A死亡時には2億をEが相続
この例ではパターン3が、トータルの相続税が少なくなります。
これはひとつのシュミレーションにすぎず、BやCがすでに財産を持っている場合にはもっと税額は多
くなるかもしれませんし、相続人が取得した財産を使ってしまえば税金は安くなります。
孫に相続する場合には相続税に2割が加算されますので、贈与などによって孫に財産を移転するための
諸費用(贈与税・相続税・登録免許税・不動産取得税など)と2割加算額との比較で孫への財産移転方
法を考えるという視点も必要になります。
III.マイナンバーへの対応は大丈夫ですか?
以前の記事でもマイナンバーの概要について触れましたが、ここ最近、会社からマイナンバーに対する
対応についてご質問が増えております。
制度自体はなんとなくわかるけど、実際の対応がよくわからないとのことです。
大企業であれば、いろいろなシステムを導入することも検討するのでしょうが、中小企業、特に事務担
当者がいない会社においては、どこまでの対策をすればよいか悩むことでしょう。
今回は、中小企業として、どう対応すればよいかについて触れたいと思います。
マイナンバーへの対応は、どんな企業でも情報が漏えいしないよう徹底した管理と運用をすることにな
ります。しかし、中小企業においては、一部例外の扱いが設けられています。この中小企業とは、従業
員数が100人以下の事業者(中小規模事業者)です。
なお、中小事業者であっても委託を受けてマイナンバーを取り扱っている事業者は除外されます。
例えば、ガイドラインで「原則、特定個人情報等の具体的な取扱いと定める取扱規程等を策定しなけれ
ばならない」とされている部分が、中小規模事業者については、「・特定個人情報等の取扱い等を明確
化する。・事務取扱担当者が変更となった場合、確実な引き継ぎを行い、責任ある立場の者が確認する
。」という例外が設けられています。
その他の例外事項については、特定個人情報保護委員会「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイド
ライン(事業者編)」を一度確認してみてください。
(社会保険労務士)
IV.指揮官たちの見事な手腕
個人的な感想ではあるが、正月の箱根駅伝を皮切りにスポーツ界で指揮官たちの存在がこれほど際立っ
た年は珍しい。
まず、プロ野球界ではセ・パ両リーグとも就任一年目の監督が指揮を執る球団が優勝した。
セリーグではヤクルトの真中満監督、パリーグではソフトバンクの工藤公康監督のお二人だ。
真中監督が監督就任の際に唯一こだわったのは、三木肇コーチを参謀に据えることだった。
野球観が一致するというのがその理由だそうだ。同氏に加え、打者に関しては杉村コーチ、投手に関し
ては高津コーチがその手腕をいかんなく発揮した。
選手たちとの距離感を絶妙に保ち、その選手たちの自主性を育て、二年連続最下位だったチームを優勝
へと導いた手腕は見事であった。
一方の工藤監督は前年日本一の球団を指揮するという点では荷が重かったことに加え、そこに独自色を
打ち出すことにはかなり勇気がいったに違いない。その一つが練習メニューの変更であり、その二は4
番に内川選手をシーズンを通して据えたことだった。圧倒的な成績での優勝には脱帽だ。
そして、今年はなんといってもラグビー界に触れないわけにはいかないだろう。
大学ラグビー界では、現在大学選手権6連覇中の帝京大の岩出監督の名前がすぐ思い浮かぶが、それ以
前にも早大の清宮氏、関東学院大の春口氏などが記憶に残る。もっとも、学生ということを考えれば指
揮官と呼ぶよりは指導者の呼称がふさわしいと思うのではあるが。
とはいえ、やはり極め付きはエディー・ジョーンズ氏に尽きるだろう。ラグビーW杯は、サッカーW杯、
五輪に次ぐ大きな大会といわれている。今大会の結果は19年に日本で開催される同大会につながる十
分すぎるほどの内容であった。名将と呼ばれる同氏の力は日本ラグビー界に大きな変革を与えてくれた
といっても過言ではないだろう。
(覆面ライター 辛見 寿々丸)
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トルや説明文の内容も重要になります。
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(Webデザイナー)