IV.自己都合退職時の研修費用返還について

先日、会社の技能研修を終わった後すぐに、労働者が退職したときのトラブルについて、経営者側、労 働者側の両方の方からご相談がありました。 よくあるのは、入社時に「覚書」として「研修実施後に6ヶ月間は退職してはいけない、6ヶ月未満に 退職する場合は、研修費用を給与から控除する」という内容の書面に労働者が捺印しているケースです。 このような研修費用返還のケースは、その書面の内容が無効になることが多いです。理由としては、 「労働契約の不履行についての違約金」「損害賠償額の予定」は労働基準法で禁止となっているためで す。 研修費用を返還しなければいけないか否かは、労働契約の一部であるのか、返還費用が本来本人が負担 すべき範囲か、金額が高額な場合現実的な返済方法か、研修内容が会社以外での活用の可能性が高い( 個人の技術獲得の性格が強い)か、外部の教育機関に委託した研修か、どれだけ在職期間を拘束するか 等の内容で判断して、返還請求が有効か無効かが判断されます。 このようなトラブルが起こる前に、現状の対応を見直して、研修費用についてどう対応していくか、社 会保険労務士のような専門家にご相談ください。

(社会保険労務士)