II.相続対策(その5)生命保険を活用しよう

相続税額を軽減するための方法の一つとして生命保険の活用があります。 現預金等で保有している財産を、非課税財産となる生命保険で保有することにより相続財産の課税対象 金額を軽減する効果があります。 【制度の概要】 被相続人の死亡によって取得した生命保険金等で、その保険料を被相続人が負担していたものは、相続 税の課税対象となります。この死亡保険金の受取人が相続人(相続を放棄した人や相続権を失った人は 含まれません。)である場合、全ての相続人が受け取った保険金の合計額が次の算式によって計算した 非課税限度額を超えるとき、その超える部分が相続税の課税対象になります。 〔500万円×法定相続人の数=非課税限度額〕 つまり、非課税限度額までは相続税がかからない財産となるのです。 【計算方法】 各相続人一人一人に課税される金額は、次の算式によって計算した金額となります。 A:その相続人が受け取った保険金額 B:非課税限度額 C:すべての相続人が受け取った保険金の合計額

その相続人の課税される生命保険金の金額 =A−B×A/C

【例】 (前提条件)  ・法定相続人 配偶者 実子1人 養子1人   ・相続人でない孫1人  ・保険金2500万円の一時払い終身保険に加入。(保険料も2500万円)  ・契約者・被保険者は被相続人   ・死亡保険金の受取人 配偶者1000万円    実子500万    養子500万 相続人でない孫500万 (課税される死亡保険金の計算)  非課税限度額 = 500万円×法定相続人3人=1500万円  配偶者の課税される生命保険金の金額    =1000万−1500万×1000万/2000万=250万円  実子の課税される生命保険金の金額    =500万−1500万×500万/2000万=125万円  養子の課税される生命保険金の金額    =500万−1500万×500万/2000万=125万円  孫の課税される生命保険金の金額    =500万円(非課税の適用なし)  課税される死亡保険金の金額の合計 1000万円 【解説】 現金2500万円分をそのままもっていれば、そのまま課税相続財産になりますが、それを一時払い終 身保険に掛けたとすると、1500万円分課税相続財産が減り、その分相続税も減ることになります。 【注意】 1.法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の   数をいいます。 2.法定相続人の中に養子がいる場合、法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいるときは1人、実   子がいないときは2人までとなります 3.相続人以外の人が取得した死亡保険金には非課税の適用はありません。 4.現行の相続税法に基づく計算ですので、相続税法の改正により非課税限度額の計算方法が変更する   可能性があります。 5.一親等の血族でない孫には算出した税額にさらに20%の加算があります。

(税理士・CFP 廣崎 英子) HP:横浜の税理士 廣崎英子税理士事務所 ブログ:税理士 ときどき ランナー