V.「ブームではなく文化に」

そろそろ東京五輪へ向けてのカウントダウンを始めたい気分もここのところのすったもんだで吹っ飛ん でしまった。 シンボルとなるはずの新国立競技場の建設費の問題は全くの論外としても、先行きがどんどん不安にな ってくる。 五輪後にいつも課題としてクローズアップされる例の問題だ。 先に行われた女子サッカーW杯で主将を務めた宮間選手の「ブームではなく文化に」という訴えは切実 だった。4年前に報じられた彼女たちの現実はその後も改善は図られなかったのか? 選手たちにその責任のすべてを背負わせるのはあまりにも酷だ。 この現実が続く限り、後進の若手選手の台頭は望むこともできない。 以前、ラスベガスで行われたボクシングの試合を取り上げたことがあったが、巨額のファイトマネーを 生む仕組みもスポーツ界関係者であればよく心得ているはずだ。 五輪はあくまでもアマチュアスポーツの祭典だという考え方もあるのだろうが、現状とあまりにも乖離 してはいないだろうか? 五輪の競技種目や出場選手の出場規定は時代とともに変遷しているにもかかわらず、いつまでたっても こういった問題は置き去りにされてしまっているようだ。 来年はリオ五輪の年。早急に改善策を講じて欲しいところだ。もちろん私もできる協力は惜しまないつ もりだ。とはいっても、私にできることは覆面のオークション代金を寄付することくらいなのだが、そ れはそれで切ない気分がこみあげてくる。

(覆面ライター 辛見 寿々丸)