II.相続対策(その4)養子縁組について
養子縁組をすることによって法定相続人の数を増やすことができます。
法定相続人が増える事により、次のような効果があります。
1)相続税の基礎控除(非課税枠)が増える
2)生命保険金の非課税枠が増える
3)死亡退職金の非課税枠が増える
だからといって、無制限に法定相続人の数を増やすことはできません。
上記の計算をするときの法定相続人の数に含めることのできる養子の数は、一定数に制限されています。
(1) 被相続人に実の子供がいる場合 一人まで。
(2) 被相続人に実の子供がいない場合 二人まで。
【養子縁組をする場合の注意点】
1)養子は法律上、実子と同様の地位をもつため、一親等の血族に該当しますが、孫に財産を相続させ
た場合には孫の相続税に20%が加算されます。
2)死亡前3年間に贈与した財産について相続税の課税財産に持ち戻しされます。(その際の贈与税は
相続税から控除されます)
【養子縁組の種類】
1)普通養子縁組
実親との身分関係には影響せず、実親の相続権もそのまま継続します。従って普通養子は二重の相続機
会を有することになります。
2)特別養子縁組
未成年の子の福祉を目的として養親と養子の間に実の親子と同様の関係を成立させるもので、実親との
親子関係は終了し、実親との間で相続関係はなくなります。
【普通養子縁組の方法】
養子縁組をする際には、届出対象者の本籍地に養子縁組届を提出します。
(必用書類)
・養子縁組届
・養親と養子のうち、届出先に本籍がない人の戸籍謄本
・養子が未成年のときは、家庭裁判所が発行する、養子縁組許可審判書
・養親と養子の印鑑
・養子縁組届には成人の証人2名が必要です。
【養子と認められない場合】
相続税法では、養子を法定相続人の数に含めることで「相続税の負担が不当に減少させる結果となる」
ときは、養子の数を法定相続人の数に含めないで、相続税を計算することになっています。
もし、養子にする合理的な理由がないと判断されますと、単純に相続税を少なくするため租税回避行為
とされ、養子の数を法定相続人の数に含めないで相続税を計算することになりますので注意が必要です。
【争続にならないように】
実子がいる場合などに、養子縁組手続きをすると、遺産分割がスムーズに進まない場合があります。
法定申告期限までに遺産分割がまとまっていないと、受けられない優遇制度がありますので、養子縁組
をする場合には後々の争続のたねにならないよう、他の相続人の同意を得ておいた方がいいでしょう。