II.SWOT分析と経営戦略策定

今月はSWOT分析を表を用いて、もう少し掘り下げてみます。まず、SWOT分析により洗い出した、 自社の「強み」/「弱み」と「機会」/「脅威」とを掛け合わせたマトリックスにより、戦略の方向性 を導くための指針を得ることができます。換言すれば、自社の経営資源の投入にかかわる意思決定の判 断材料を得ることができます。具体的には図表1の「強み」「弱み」「機会」「脅威」に自社の分析結 果を当てはめ、@ABCについて検討していく形になります◆@の「強み−機会」の組み合わせでは、 自社の強みを活かして得られる市場の機会は何か、自社の強みを活かして他社ではできないことができ ないかという観点で戦略を策定します。Aの「強み−脅威」の組み合わせでは、自社の強みを活かして 市場の脅威を回避できないか、他社への脅威を自社の強みにすることができないかという観点で戦略を 策定します◆Bの「弱み−機会」の組み合わせでは、事業機会を失わないために自社の弱みをどう克服 するか、自社の強みを活かして弱みを補完することはできないかという観点で戦略を策定します。Cの 「弱み−脅威」の組み合わせでは、弱みを最小化し、脅威を回避する方法はないかという観点で戦略を 策定します◆ある地方都市で和菓子を製造・販売している「X社」のSWOT分析を図表2に例示してみまし た。これをベースに考えてみます。まず、@についてはA市は50歳以上の人口が増加傾向にあり、かつ 40歳代の間で和菓子が注目されているという二点から、いずれ50歳代となる40歳代をターゲットにPR を展開します◆Aについては和菓子業界全体の売り上げは減っているにもかかわらず和菓子店数は増え ているわけですから、自社の商品の優位性で他店との差別化を図ることができます。うまくいけば一人 勝ちも夢ではありません◆Bについては、和菓子が贈答品として利用されることに着目し、贈答品用に 既存商品をパッケージを工夫をして販売します。さらに、B市の人口増に対応して直営店を展開するな ど販路を確保します◆Cについては、競争が激しくなっている状況で原材料費や人件費が多いというこ とですからパートの人員割合を増加させて人件費を削減したり、値引き交渉、仕入先の見直しを通じて 原材料費の低減を図ります◆このようにSWOT分析を用いて、外部環境の機会と脅威および自社の強みと 弱みを明らかにし、自社の取るべき戦略を検討することで論理的な分析と経営戦略の策定を行うことが できます。

(起業コンサルタント 浦邊 謙佑) HP:ぜいりし.com 浦邊剛至税理士・行政書士事務所 ブログ:会計事務所の一日