I.SWOT分析
いよいよ事業を具体的な形にしていくステップです。すでに計画書作成の段階で多くのことは準備でき
ました。しかし、残念ながら計画書の作成段階では想定外であったことも起こります。計画書作成のス
テップでもお伝えしましたが、それは当然のことです。けれども、決してあわてる必要はありません。
というのも、想定外のことが起こるということは計画書にすでに織り込んであるからです。おかしな表
現かもしれませんが、想定外のことが起こるのは想定内ですから前へ進んでいきましょう◆先日、ある
会社のレポートの中でアナリストがSWOT分析という手法を用いているのを発見しました。経営戦略
を構築するうえで有用な手法の一つであるので、今回少しご紹介しておきたいと思います。もちろん、
事業計画書を作成する際にも使える手法なので、次の機会に役立てて欲しいと思います◆SWOT分析
とは、外部環境の分析から市場の機会・脅威を、自社の分析から自社の強み・弱みを整理し、それぞれ
のファクターの組み合わせで自社の採るべき戦略や施策の検討材料を明らかにするための手法です。詳
細な説明についてはボリューム的に膨大であるため、ポイントについてのみ触れたいと思います。詳し
くは、経済産業省のホームページなどを検索していただければ容易に見つかります◆「機会」とは、外
部環境におけるビジネスチャンスは何か、自社との関連性は強いかという観点で分析結果を整理します。
「脅威」とは、外部環境におけるビジネスリスクは何か、自社との関連性は強いかという観点で分析結
果を整理します。「強み」とは、自社にとっての強みは何か、他社と比べて勝っている部分は何かとい
う観点で、分析結果を整理します。「弱み」とは、自社の弱みは何か、他社と比べて劣っている部分は
何かという観点で分析結果を整理します◆ちなみに、経済産業省の例示によれば、「機会」については
IT革命による市場拡大、高齢化社会による消費構造の変化など。「脅威」については技術革新による
画期的新商品の登場、海外からの低価格商品の流入など。「強み」については独自の技術力・ノウハウ
など。「弱み」については財務体質からくる資金調達力不足、知名度の低さによる人材獲得難など。と
いった具合に各ファクターについて分析しています◆起業したばかりや計画中のケース、あるいは独立
開業したばかりや計画中のケースでは外部環境については十分認識できているはずですし、自社の状況
も十分に把握できているはずです。会社としての業歴が長く、それなりの資本を投下後ともなるとかえ
って冷静な分析ができないことが多いのも現実です。経営資本の選択と集中という意味では、業歴の長
い会社より有利な部分が多いというのが私なりの結論です。この手法を早くから取り入れておくべき意
味は十分ありそうです。次号では、マトリックス表を用いてもう少し掘り下げてみたいと思います。