II.夢の実現へ向かって
前号では「事業計画書についてチェックすべきポイント」について項目だけ列挙しました。今回は、個
々の内容について触れたいと思います◆まず基本となるのは事業計画の実現可能性です。明らかに実現
不可能な計画や売上高を計上していないかに留意してください。夢が大きいことは良いことですが、現
実がわかっているのかどうかを疑問視されるような表現は避けたいものです。特に各種予測数値につい
ては、可能な限り裏付けをとることも必要です◆事業の独創性については、事業を展開・稼働させるま
での速度に留意します。なぜなら、自分では独創的なつもりでも同時期に似たプランを考える人が多い
のが現実です。迅速に稼働したいものですが、それでもいったんあなたの事業が登場すれば、マネをさ
れるのも時間の問題です。特許などを含めた権利対策も意識しておきましょう◆対象とする客層の絞り
込みについては、対象を極端に絞り込みすぎていないかに留意します。広すぎるのは論外としても、そ
の逆に狭すぎてはマーケットの規模が小さすぎて、収益力が弱まったり、非効率になることがあります
◆スタッフの確保の前提となるのは、事業を遂行するための技術や知識・資格・経験が自分にあるのか
どうかです。内部で確保するのか、それとも協力・提携関係などによって外部に求める方法がないかも
含めて検討します◆流通や販売方法については、問屋や小売に卸すのか、通信販売などで直接販売する
のか。それともそれらを複合的に行うのか。まったく別のそのほかの方法なのかということを検討しま
す。どのルートなら確保できるのか、コストはどうなのかなどを総合的に検討します◆特許等の侵害に
ついては、アイデアそのものは盗用していなくても、すでに特許や実用新案が認められていたり、出願
中ということがあります。さらに、ネーミングやデザインなども商標や意匠を侵害していないかにも要
注意です。知的所有権や著作権にも気をつけます◆最後の四項目は事業計画書全体にかかわってくるも
のです。専門性については事業計画書を読む人はビジネスのプロであっても、その事業に詳しいとは限
りません。内容や表現が専門的になりすぎないように留意し、相手にどう理解してもらうかを考えるこ
とが大切です。その観点からも計画書の量にも留意します。10分〜15分程度で概要とポイントがつ
かめる量が標準です◆事業計画書の読み手に応じて内容の比重を意識します。読む相手によって、知り
たい内容は異なります。従って、相手が何を知りたがっているかによって内容の比重が変わります。ま
た、計画書をプレゼンテーションの場で見てもらう場合もあります。その場合は、映像など他のツール
が使える場合もあるでしょう。どういった環境で見てもらうのかも意識しましょう◆これで、「事業計
画書」は完成しました。「完成品」を様々な人に見てもらいましょう。この時の注意点をいくつか挙げ
ておきます。第一点は、この計画書の良い点と悪い点、あるいは理解できる点と理解できない点の両方
を指摘してもらうことです。なぜなら、悪い点あるいは理解できない点を修正する際に良い点あるいは
理解できる点を規範にして、それらとの整合性や相乗効果が期待できる修正作業が行えるからです。も
う一点は、途中で相手から質問が出る場合があります。そのわけは、その質問に関する考え方や計画が
提示されていないからです。後で、その項目は書き加えておきましょう◆さあ、ここからは夢の実現へ
向かってスタートです。様々な困難が待ち受けているとは思いますが、これこそが醍醐味でもあります。