IV.職場のパワーハラスメントについて(その2)
パワーハラスメントを予防するには、どのような取組が考えられるかをご紹介します。 厚生労働省のパンフレットによると、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グ ループ報告」では、次の5つの対策を掲げています。 1つめは、企業として「職場のパワーハラスメントはなくすべきものである。」という方針を明確に打 ち出すこと。 2つめは、就業規則にパワーハラスメント行為を行った者についての懲戒規程等の対処方針を定めるこ と。 3つめは、アンケート等を実施し、職場の実態を把握すること。 4つめは、管理監督者向けの研修や一般従業員向けの研修を定期的に行うこと。 5つめは、従業員に対して周知・啓発を行い、パワハラ防止の意識を従業員全体に浸透させることです。 今までのような話をすると「ただ注意しただけなのに、パワハラ扱いされるのはごめんだ!」と思う方 もいらっしゃるでしょう。上司の言動の背景には、部下の態度等に大きな問題があるということも多々 あることです。それなのに、パワハラをうけたと主張されて損害賠償を支払わなければいけないのでし ょうか? 過去の判例からは、社員側に問題が見られた場合、裁判所は損害賠償額の調整を行い会社や加害者の法 的責任を一部軽減することがあります。そのため、パワハラにあたるか否かについては、上司の言動は もとより、当該言動に至るまでのプロセスにおける当該社員の対応も含め、事実関係を確認していく必 要があるでしょう。(社会保険労務士)