V.報道の基本に立ち返って

問題多発が報じられる朝日新聞ですが、私自身は古くからの同紙の購読者の一人です。日本を代表する 報道機関が、他の各種メディアから一斉に批判されるというのも何とも皮肉なものです。 そこでひとつ思い出したことがありました。ある記事の掲載方法について、朝日新聞社に抗議を申し入 れたことがありました。 ある記事とは毎年2月の下旬から開催されるプロ野球オープン戦に関する記事であり、その掲載方法に ついての抗議でした。ある日の紙面を見た私はビックリしてしまいました。些細でどうでもよいことな のかもしれませんが、私にとっては大きな楽しみを奪われたように思えたからです。 試合結果は掲載されているにもかかわらず、出場選手の情報がほとんど割愛されていたからです。前年 までは、出場選手の打順や打数・安打数・打点等、また、投手については投球回数・被安打数・与四球 数・失点数等が掲載されていました。 この時期は、若手選手の活躍やベテラン選手の調整具合が楽しみな頃です。その情報がすべてカットさ れてしまいました。 半ば怒った私は、新聞社に電話で抗議しました。その時の新聞社の回答は「選手情報が減った分は記者 の取材記事でカバーしますから」とのことでした。 一般紙の記者の皆さんよりも私たちファンの方が特にひいき球団の選手の多くを知っているというのは 普通のことです。紙上では、事実のみを掲載してくれればそれでよいのであって、ありきたりの取材記 事では伝わってくるものは皆無です。 ちなみにこの件については、すぐに元通りの掲載方法に対応してくれたと記憶しています。 スポーツ専門紙であれば、それなりの主張はあっても良いのかもしれません。であれば専門紙を購読す ればよいだけであって一般紙にそんなことは求めていません。 事実を正確に伝えるという基本に立ち返って欲しいものです。

(覆面ライター 辛見 寿々丸)