I.「夢」に向かっての計画づくり
前号に引き続き、「事業計画書」についてです。私がアドバイザーを務めるサイトで掲げている8項目
を紹介しましたが、その個々の内容について検討を加えてみます。本サイトは他のアドバイザーの方が
執筆・監修されたものであることを予めお断りさせていただきます◆まず、「事業プラン名」について
です。極論すれば、ここで事業の成否が決定してしまうといっても過言ではないでしょう。よく売れる
本に共通していることとして、そのタイトルが魅力的であることがよく知られています。簡潔であるの
はもちろんのことですが、これだけで何を計画しているのかが伝わるようなものが最高です。副題とし
て、キャッチコピーを用いるのも一つの方法です◆次に、「事業内容」についてです。どのような市場
やターゲットに対して、どんな商品やサービスを提供するのかということです。この内容については「
事業計画書」を完成させるまでの過程で軌道修正が必要になるかもしれません。しかしながらあまり気
にする必要はありません。なぜならば、次号以降で触れますが「事業計画書」の完成にはチェックとい
う作業が欠かせないからです◆そして、その「事業内容」について「市場環境」を分析します。市場の
規模やその成長性、競合相手について、様々な統計データを用いて分析します。データは、行政をはじ
めとして数多く提供されています。今では、これらのデータの入手はインターネットの普及により容易
になりましたが、逆にその信頼性が問題です。だからこそ、重要なデータについては自分自身で確認す
る作業が欠かせません◆「市場環境」の分析が終了したら、次は「競合優位性」についてです。同業種
はもちろんのことですが、同じような市場の異業種競合も考慮する必要があります。例えば、いわゆる
シニア層を市場=ターゲットとして飲食店の開業を計画するのであれば、アパレル業界や観光旅行業界
の動向も非常に気にかかるものです◆ここまで作成してきた計画に基づいて、いよいよその事業をどう
実現するかというステップです。それが、「市場アクセス」という項目です。計画している事業をどう
市場に認知させ、販売網を構築するかというプロセスを具体化していきます。せっかく良い商品やサー
ビスであってもそれらが市場で認知されなかったり、その逆にその商品やサービスの提供を受けたいの
だけれどどうしたらよいのかといったケースもよく見受けます◆今回は、5項目について検討しました
が、残りの「経営プラン」「リスクと解決策」「資金計画」の3項目については次号で触れたいと思い
ます。今は「事業計画書」作成に当たってどうしても外すことのできない項目について検討しています
が、これらについてさらなる肉づけも必要となります。なんだか大変な作業のようですが、自分の「夢
」に向かっての計画づくりです。楽しく、そしてポジティブに取り組みましょう。
II.平成26年10月1日から地方法人税が変わります。
平成26年10月1日以降に開始する事業年度から地方税が変更になります。
【法人住民税の法人税割の引き下げ】
国税である法人税額を課税標準として課税される法人税割について以下のように標準税率が引き下げら
れます。
法人県民税
現行 法人税の5.0%〔6.0%〕→
改正後 3.2%〔4.2%〕
マイナス1.8%
法人市民税
現行 法人税の12.3%〔14.7%〕→
改正後 9.7%〔12.1%〕
マイナス2.6%
〔〕内は地方が独自に上乗せできる税率の上限である制限税率
【地方法人税の創設】
ここまで読んで県民税と市民税あわせて4.4%も地方税が下がったと喜んではいけません。
地方税の法人税割の税率が下がった分、国税である地方法人税が創設されました。
そして、その税率は法人税額の4.4%です。
なんのことはない、これまで地方税として県、市に払っていた分を国税として国に払うことになっただ
けです。
国は地方法人税として集めたお金を、地方交付税の財源とします。つまり、税源のある地方から集めて、
税源の少ないない地方に配分するということですね。
【地方法人特別税の縮小及び事業税の復元】
同時に地方税である地方法人特別税を減らして、その分地方税である法人事業税の税率を復元します。
地方法人特別税はもともとは地域間の税源偏在を是正するために法人事業税を分離して創設されたもの
です。事業税という受益者負担であるはずの税金を税収の多い地域から少ない地域へという応能負担の
税金に変えてしまったものでした。
今回の地方法人特別税の規模縮小および事業税の規模拡大は応益負担である事業税の本来の機能を少し
だけ元に戻すことになります。
それにしても国税なのに「地方法人税」、「地方法人特別税」という名称にしたり、地方法人税は法人
税の同一の様式の中で計算・申告・納付するのに、地方法人特別税は事業税と同一の様式で計算・申告
・納付するなど本当にわかりにくくなっていますね。
整理すると次のようになります。
【課税元】
国‥‥法人税、復興特別法人税 地方法人税 地方法人特別税
地方‥法人県民税 法人市民税 事業税
【申告・納付先】
国‥‥法人税、復興特別法人税、地方法人税
地方‥法人県民税 法人市民税 事業税 地方法人特別税
【課税標準】
所得‥‥法人税 事業税 地方法人特別税
法人税‥復興特別法人税 地方法人税 法人県民税 法人市民税
(復興特別法人税は26年4月1日以降に開始する事業年度については廃止されています)
*分かりやすくするために、神奈川県の中小法人を対象に記載しています。
III.読み方が難しい漢字の表示
ホームページの文章の中に読み方が難しい漢字がある場合、括弧の中にひらがなで読み方を表示する場
合が多かったかと思います。
Web記述のための言語の最新版HTML5ではルビを振ることができるようになりました。
HTML5に対応していないブラウザの場合には読み仮名を括弧に入れるという設定を追加すれば、
どちらのブラウザでも問題なく表示することができます。
(Webデザイナー)
IV.10月から最低賃金がかわりました。
最低賃金が10月より東京は時間給888円に変更になりました。
近隣では、神奈川県が887円、千葉県が798円、埼玉県は802円に変更になっています。
最低賃金とは、事業所で働くすべての労働者、使用者に適用されるもので、常用雇用(正社員として雇
用)、臨時雇用、パートタイマー、アルバイトの雇用形態、国籍、性別、年齢の区別なく適用され、最
低賃金未満の賃金を支払っている場合は、最低賃金法違反として罰則の対象となります。この最低賃金
のなかには、次の4つ、@精皆勤手当、通勤手当、家族手当A結婚手当などの臨時に支払われる賃金B
1カ月を超えるごとに支払われる賃金C時間外労働、深夜労働、休日労働に支払われる賃金は、含みま
せん。
また、塗装製造業、自動車小売業等のいくつかの特定業種は、都道府県で決定される地域別最低賃金で
はではなく、地域別よりも賃金水準が高い特定最低賃金が適用されます。最低賃金は平成15年からは、
時間給のみで決定しています。月給制の給与が最低賃金を上回っているかは、月給額×12カ月÷年間
総所定労働時間が最低賃金以上になっているかで確認しましょう。例えば年間所定労働日数260日、
月給170,000円(内訳は基本給150,000、家族手当10,000、通勤手当10,000
円)1日の所定労働日数が8時間の場合、月給の170,000円から最低賃金の対象とならない家族
手当、通勤手当を除きます。すると150,000円。年間総所定労働時間は260日×8時間=2,
080時間。
150,000円×12カ月÷2,080時間=865.384・・・円となります。この時間額では
東京都、神奈川県の最低賃金を下回っていますので、この地域にある事業所で働く労働者はこの月給額
では法律違反となります。最低賃金は、年々変更していますので、ご注意ください。
(社会保険労務士)
V.報道の基本に立ち返って
問題多発が報じられる朝日新聞ですが、私自身は古くからの同紙の購読者の一人です。日本を代表する
報道機関が、他の各種メディアから一斉に批判されるというのも何とも皮肉なものです。
そこでひとつ思い出したことがありました。ある記事の掲載方法について、朝日新聞社に抗議を申し入
れたことがありました。
ある記事とは毎年2月の下旬から開催されるプロ野球オープン戦に関する記事であり、その掲載方法に
ついての抗議でした。ある日の紙面を見た私はビックリしてしまいました。些細でどうでもよいことな
のかもしれませんが、私にとっては大きな楽しみを奪われたように思えたからです。
試合結果は掲載されているにもかかわらず、出場選手の情報がほとんど割愛されていたからです。前年
までは、出場選手の打順や打数・安打数・打点等、また、投手については投球回数・被安打数・与四球
数・失点数等が掲載されていました。
この時期は、若手選手の活躍やベテラン選手の調整具合が楽しみな頃です。その情報がすべてカットさ
れてしまいました。
半ば怒った私は、新聞社に電話で抗議しました。その時の新聞社の回答は「選手情報が減った分は記者
の取材記事でカバーしますから」とのことでした。
一般紙の記者の皆さんよりも私たちファンの方が特にひいき球団の選手の多くを知っているというのは
普通のことです。紙上では、事実のみを掲載してくれればそれでよいのであって、ありきたりの取材記
事では伝わってくるものは皆無です。
ちなみにこの件については、すぐに元通りの掲載方法に対応してくれたと記憶しています。
スポーツ専門紙であれば、それなりの主張はあっても良いのかもしれません。であれば専門紙を購読す
ればよいだけであって一般紙にそんなことは求めていません。
事実を正確に伝えるという基本に立ち返って欲しいものです。
(覆面ライター 辛見 寿々丸)