I.中小企業も各種減税制度を活用しましょう

先日、トヨタ自動車の社長が「やっと法人税を払うことができる」といった事が話題になりました。 年間売り上げ高が25兆円を超え営業利益も2兆円を超える巨大企業なのになぜ?と思われた方も多い と思います。もちろん、天下のトヨタが脱税をするわけはないので、合法的に納税を回避してきたので しょう。 まず第一に法人税には欠損金の繰越控除という制度があります。赤字を出した場合にその赤字を次年度 以降の黒字と相殺できるという制度です。 トヨタ自動車は2009年に5604億円の赤字を出しているので、それを2010年以降の黒字と相 殺していると考えられます。しかし、トヨタ社は2010年以降毎年巨額の利益を出しているのでこれ だけでは説明はつきません。 次に考えられるのは連結納税制度です。連結納税制度は法人税の課税にあたって企業グループ内の赤字 を合算し、税額を減らす制度です。親会社が黒字でも、赤字の子会社があれば、その赤字額を親会社の 黒字額から差し引けます。 法人税の課税対象となる利益が少なくなり、納税額を減らすことができます。 さらに研究開発税制や外国税額控除など各種減税制度を利用する事で法人税を減らすことができます。 研究開発税制は試験研究費の額がある場合に、その試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の 法人税額から控除することを認めるものです。また外国税額控除は外国で納付した外国税額を一定の範 囲で税額から控除する仕組みをいいます。 さらに日本親会社が外国子会社から受ける配当は、その配当(源泉税控除前)の95%が益金不算入と されるようになりました。 トヨタはこのようにさまざまな税制度を利用した結果日本国内では5年間法人税を納めることなくきま した。 一方国内の99%をしめる中小企業では、少ない利益の中からなんとか税金を支払っているところも少 なくありません。 各種の税金の減税制度はもともと政治献金を多く出している大企業からの要望でできたものも少なくな いのですが、中小企業でも使える減税制度もいろいろとあります。 平成25年度から始まった所得拡大促進税制、生産性向上設備投資促進税制などは適用できる企業も多 いと思いますので大企業のように、せっかくの減税制度を活用してもらえればと思います。 なお、各税制にはいろいろな適用要件がありますので詳細は税務署や税理士にお問い合わせください。

(税理士・CFP 廣崎 英子) HP:横浜の税理士 廣崎英子税理士事務所 ブログ:税理士 ときどき ランナー