II.平成26年度税制改正(所得税編)

 平成26年度税制改正が3月20日に成立し4月1日に施工されました。今回は所得税について平成 26年から変更になるものについて主なものを紹介します。 1.中古住宅取得後に耐震改修をした場合も住宅ローン控除の対象  耐震基準に適合しない中古住宅を取得した場合でも、取得の日までに耐震改修工事の申請をし、かつ 居住する日(取得の日から6ヶ月以内の日に限る)までにその住宅が耐震基準に適合することが証明さ れたときは住宅ローン控除を受けられるようになりました。  ただし、「既存住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除」の適用を受ける場合には適用されま せん。 2.マイホームを買い換えた場合の譲渡益の課税繰り延べの譲渡対価要件が引き下げ  居住用のマイホームを買い換えた場合に、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができる制度 の譲渡対価要件が1億5千万から1億円に引き下げられました。 3.小規模企業共済等掛け金控除の適用範囲の拡大  従来、サービス業として分類されていた宿泊業、娯楽業については5人以下でないと小規模企業共済 制度への加入資格がなかったものが、政令特例業種となり従業員が20人以下であれば小規模企業共済 等掛け金控除の対象となることになりました。 4.企業型確定拠出年金の拠出限度額の引き上げ  企業年金の一種で企業が従業員のために拠出する企業型確定拠出年金の拠出限度額が引き上げられま した。(拠出金は全額損金)  他の企業年金がない場合 月額5.1万円から月額5.5万円に引き上げ  他の企業年金がある場合 月額2.55万円から月額2.75万円に引き上げ 5.ゴルフ会員権の譲渡損失の損益通算廃止  従来ゴルフ会員権の譲渡損失は総合課税の対象となり、事業所得や給与所得などの他の所得と損益通 算することができましたが、平成26年4月1日以後行う譲渡については他の所得との損益通算及び雑 損控除を適用できない「生活に通常必要でない資産」となり他の所得との損益通算はできなくなりまし た。 6.雑損控除の対象となる資産の損失金額の計算方法の見直し  災害や盗難、横領などによって損害を受けた場合に受けられる雑損控除の対象となる資産の損失金額 について、従来の時価を基礎として計算する方法のほか、資産の取得価額から減価償却費累計額を相当 額を控除した金額を基礎として計算する方法が加えられました。 7.ストックオプション課税の見直し  税制非適格ストックオプションを権利行使前に発行法人に譲渡した場合に改正前は株式等の譲渡所得 として20.315%を課税されていたものが給与所得等として課税されることになりました。

(税理士・CFP 廣崎 英子) HP:横浜の税理士 廣崎英子税理士事務所 ブログ:税理士 ときどき ランナー