I.2014年の展望と課題
毎年恒例のことですが、年が明けるとともにスポーツ界では日本一を競う闘いが続きます。その中でも、
特に注目を集めたのが全国高校サッカー選手権の決勝でした。どちらが勝っても北陸勢としては初の全
国制覇ということや、決勝に進出した星稜高校が今を時めくACミランの本田選手を輩出した学校であ
ることが大きな理由だったと思われます。北陸といえば、かつてはサッカー不毛の地といわれてきまし
た。しかし、Jリーグ発足後は地元にプロチームができた影響で、将来を嘱望されるような子どもたち
が多く生まれる環境になり、強い学校も育ってきたという経緯があります。北陸勢同士の決勝戦という、
この快挙は日本サッカー界全体の成果と言い換えることもできるでしょう◆さて、米国ではバーナンキ
氏の後任にイエレン氏が女性としては初めてのFRB議長に就任しました。リーマン・ショック以後進
めてきた量的緩和の縮小を決定したばかりのFRBにあって、その手腕に世界中の注目が集まります。
対応を誤れば世界経済が混乱必至という大役を担うことになります。また、今年の米国は中間選挙の年
にあたるとともに、次期大統領候補者選びも活発化する年になりそうです。現段階では、クリントン氏
の動向に注目が集まっているようですが、候補者となり大統領選に勝利すれば、オバマ大統領の黒人初
に続き、これまた女性初ということになるわけですから当然なのかもしれません◆わが日本では、昨年
の参院選で国会のねじれが解消され、決められない政治から決められる政治への脱却は何とか実現でき
たのかもしれません。しかし、昨年末の「特定秘密保護法案」をめぐっての国会運営には多くの人が疑
問を持ったはずです。こういった法律が必要なのは理解できるとしても、丁寧な説明は尽くすべきだと
思いますし、担当大臣の答弁が二転三転するようでは国民の不安を煽るだけになってしまいます。その
直後の反対キャンペーンによく現れたのではないでしょうか。首相も法案成立後に反省の弁を述べられ
ていたわけですから、ご自身も十分認識されていたはずです◆ここで、私たちが注意しなければならな
いのは、この法案と並行して重要な法案が次々と成立しているにもかかわらず、それが小さくしか報道
されない点です。今年の通常国会では予算案の成立後、集団的自衛権の問題が浮上してくる予定と聞い
ています。もちろん、重要なことではありますが、私たちの暮らしに直結する法案についてもきちんと
目配せをしておく必要があるのではないでしょうか。これらの個別事項については、次号以降で触れた
いと思います。