I.国際協調・共生へのスタート
年頭に当たり、昨年を少し振り返っておきたいと思います。日本FP協会発行のFPジャーナル誌12
月号に「FPが選んだ2013年経済ニューストップ10」という記事が掲載されました。ここからテ
ーマだけを抜粋してみます◆第1位から「アベノミクス」「消費税増税」「株式市場」「NISA」「
TPP」「円相場」「教育資金の一括贈与」「金利動向」「QE3」「その他」といった順番となりま
した。FP=ファイナンシャルプランナーという立場から自身の業務に関連性の強い事柄を回答したも
のと思われますが、世間一般の関心事とも大方合致しているのではないかというのが、私の素直な印象
です◆同誌のアンケート調査の時期が9月下旬であったことからも本年も引き続きニュースとして取り
上げられそうなものが並んだことも印象的です。今年以降の世界経済、日本経済を占う上でも重要なも
のが列挙されています◆その中で普遍的なテーマといえば「株式市場」「円相場」「金利動向」の三つ
があり、「TPP」=「自由経済協定」と捉えればこちらも普遍的なテーマとして浮上してきます。ど
のテーマについても、相互に関連がある上に常に波乱要因が内在し、かつ各国の国益が合致するともの
言い切れないのですから、普遍的なテーマであるのは当然と言えば当然です◆例えば、株式市場につい
ては株価指数が高ければ高いほど良いように思われますが、実体経済と乖離したもであればマネーゲー
ムの場となってしまい、やがて大暴落ということになりかねません。円相場についても円安・円高それ
ぞれにメリット・デメリットがあります。さらに金利動向については、適度なインフレによる金利上昇
はともかくとしても、日本国債の暴落による悪い金利上昇も考えられます◆しかしながら、日本のみな
らず各国が抱える様々な困難を克服していくためには、これらのテーマから決して目を背けることはで
きません。国益を最優先すべきという考え方はもっともとしても、逆にそれだけで良いのかという疑問
もあります。世界の各国が参加する国際会議が今後も増えることは必至です。総論では合意形成がなさ
れるのにもかかわらず、各論では合意が難しいという現象が続きます◆自国の国益のみを主張するので
はなく、他国の抱える課題も共有し、自国の国益を超えた共通の利益を追求する方法も、本来人間の持
つやさしい智恵をもってすればきっと見出せるはずです。各国が様々な分野で共生できる。そんなスタ
ートの年になればと祈念いたします。
II.消費税アップは何に使われる?
あけましておめでとうございます
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
今年の税金に関する最大のトピックはなんといっても消費税の税率アップでしょう。
4月1日から消費税が8%になります。
過去にも1回税率がアップしたことがありました。平成元年に税率3%でスタートした消費税が平成9
年4月1日に5%(4%+地方消費税1%)になったときです。
当時のニュースを見てみると・・・
『消費税率5%に引き上げ直後の4〜6月期、実質国内総生産(GDP)は年率3・7%減と、1〜3
月期の3・0%増から一転、マイナス成長。10〜12月期からは、3四半期連続でマイナス成長。』
となっていました。
明らかに経済が低迷していました。
今回の税率アップでは影響の大きい住宅について住宅ローン控除を拡大したり、低所得者向けに現金給
付をするなど手厚い対策を用意していますが、どこまで効果があるでしょうか。
サラリーマンの給与所得控除の見直し、高校無償化の見直し、軽自動車税の増税、平成27年の消費税
率10%への引き上げなどさらなる家計負担増が予定される中、人々は消費を控えるようになる、とい
うよりは控えざるをえないというのが本音ではないでしょうか。
消費増税により将来の不安がなくなり貯蓄を消費にまわすようになるという政府の見通しもありました
がそれも少し甘いように思います。
増税分は当初社会保障のためだけに使われるといわれていましたが来年度予算をみると、そうは思えな
いからです。
平成26年度予算案を見てみると消費税増税見込み分約5兆円に対して基礎年金の国庫負担2分の1分
維持のため約2.95兆円が充てられます。子育て支援・少子化対策には約5000億円程度、低所得
者や子育て世帯への対策に6000億円等となっています。
あいかわらず子育て世帯には冷たい予算です。
さらに消費増税に向けた経済対策に5.5兆円を投入されますがその多くが公共事業に充てられるそう
です。
これで安心して貯蓄を消費に回す人がいるのかははなはだ疑問です。
III.桜木町 初詣マップ
GoogleMapsのマイプレイス機能を使った地図の表示方法について、以前ご紹介しました。
その後、バージョンアップされた地図の機能を使ってAXIS−Kの近くにあるお寺と神社のマップを
作ってみました。
「成田山横浜別院」は、成田山新勝寺(千葉県成田市)の別院で真言宗智山派の寺院です。
AXIS−Kのドアの前の廊下からも見える高台にあります。
現在は、バリアフリー化のための改修工事中とのことで、仮本堂が設置されています。
「伊勢山皇大神宮」は、成田山横浜別院から少し歩いたところにある神社です。
祭神は天照大御神です。
横浜開港にあたり、明治初年に神奈川県の宗社として創建されたそうです。
今回作成した地図は、弊社サイトの「横浜の風景」のページに掲載しました。
右上の四角いアイコンをクリックすると別ウィンドウに全画面で表示されます。
GoogleMapsの使用方法のご参考に、また初詣のご検討の際にもご利用頂ければ幸いです。
横浜の風景:桜木町 初詣マップ
(Webデザイナー)
IV.NISAについて考えよう(2)
いよいよNISAがスタートします。
2014年1月から「毎年100万まで」の非課税投資枠が設定され、投資金額100万円分までの株
式投資や投資信託にかかる値上がり益や配当金(分配金)が非課税になります。
年間の投資金額が100万円以内に収まっていれば金融商品を買う回数に制限はありません。
積み立て方式で少しずつ購入していくことも可能です。売却も好きなときにすることができますが、こ
ちらに関しては、売却で枠が空いたからといって、その分買い足すということはできません。
また、年間の投資額が100万円に満たなかった場合でも、その分を翌年に繰り越すことはできません。
注意すべき点として、NISAは損益通算をすることができません。
その為、ハイリスクな資産をNISA口座に入れると、運用している資産に損が出ても損益通算ができ
ず、かえって多くの税金を支払うことになってしまい、損をする可能性が高くなります。
NISAはできるだけ長く保有して利益を大きくするというのが理想なので、ハイリスク・ハイリター
ンの商品よりも、大きな値上がりは期待できないが、値下がりやリスクも大きくない投資信託がおすす
めです。
これから投資を始めようと検討中の方は特に、有効に制度を利用するためにも、しっかり情報収集を行
い、まずはローリスクの商品から始め、少しずつリターンも高そうな商品に投資していくのも良いので
はないでしょうか。
(企業会計アドバイザー 米山 裕子)
V.芥川賞作家の書いた観戦記
将棋というと皆さんはどんなイメージをもたれるでしょうか。なんでも最近、将棋ファンが増えている
ということを耳にしました。その原因はよくわかりませんが、漫画の「ハチワンダイバー」や将棋のプ
ロ棋士がコンピューター将棋と対局する「電王戦」の影響が大きいのは間違いないでしょう。
日本将棋連盟の谷川会長も「最近の将棋ファンは、楽しみ方が多様になってきているのでその対応が急
務だ」と発言されています。
著名人としては、芥川賞作家の朝吹真理子氏が将棋の観戦記を書いています。ご本人によれば、「将棋
の観戦」がご趣味のようで、将棋の面白さを独特の感性で語り、さらに対局室や対局上で繰り広げられ
る人間模様にも大きな関心を寄せられているようです。
彼女の書いた観戦記を拝読しましたが、将棋の技術的なことには一切触れず、棋士の仕草などの描写が
あったりと、通常の観戦記ではお目にかかれないことがたくさんちりばめられ、非常に興味深いもので
した。芥川賞作家の手にかかれば、こんなにも面白い観戦記になるのかと感心したものです。
かくいう私も、「将棋の観戦」を趣味に持つ一人です。私が最も興味を持つのは、将棋では自分が次の
手を指すと必ず自分の形勢が不利になるという局面が登場するところです。どんな手を選択したとして
もです。たとえ対局者が将棋界第一人者の羽生氏であってもです。パスというルールはありませんから、
何らかの手を選択しなければなりません。はたしてこの局面にどう対応するのか?
チョッと変わった趣味かもしれませんが、プロ棋士それぞれの力量がもっとも問われる場面だと個人的
に思うからです。
一口に趣味といっても楽しみ方は多様ですね。
(覆面ライター 辛見 寿々丸)