II.世界のGDPと株価指数
10月末、世界全体の株式時価総額が過去最高を更新したことが報じられました。ただ、米国ではチョ
ッと不思議な現象も見受けられます。それは、あまり良くない経済指標の発表 → 量的緩和縮小時期の
延期観測 → 株価の上昇といった流れです。つまり、ここで大きなカギを握るのは量的緩和縮小の時期
とタイミングということになります◆しかしながら、世界全体を見るとやはり目につくのはロシア・中
国・ブラジルといったいわゆる新興国の年初からの株価指数の動きです。いずれの国でも年初比ではマ
イナス圏に沈んでいます。さらに、新興国の減速が世界経済に影を落とす例も出始め、グローバル企業
の収益力の強さを反映し、先進国が株価の上昇を主導するというのが現在の構図です◆さて、我が国は
といえば年初比の株価指数という点では、他の先進国を圧倒的に凌駕しているにもかかわらず相変わら
ず、先行きの不透明感を拭い去ることができません。そもそも、株価指数の水準自体も年初から好調と
はいえ、まだまだ低水準に沈んでいることも否めない事実です◆世界全体のGDP合計と株価指数の推
移を時系列に並べれば、世界全体のGDP合計の大きさと株式の時価総額は比例していることがわかり
ます。ただ、問題なのは完全に比例しているのではなく、世界全体のGDP合計はほぼ右肩上がりなの
に対し、株価指数にはジグザグと山や谷があります。谷の部分で資金を投入できれば良いのですが、山
の部分で大きな資金を投入してしまうと回復までに時間がかかります◆世界のGDPの合計が今後も大
きくなることに疑問の余地はないと思います。(残念ながら、やがて頭打ちになるのがいつなのかにつ
いてはよくわかりません)従来は、国外については先進国・新興国という大きなくくりで良かったかも
しれませんが、今後は地域という要素も重要になってくるものと思われます◆その理由は現在、TPP
交渉のさなかではありますが、今後もこういった自由貿易の流れは加速するものと思われるからです。
FTAやEPAといった協定だけではなく、多国間での協定も増えることが予想されます。世界的にも
課題が山積していますが、各国共通の課題については各国それぞれが国益を共有することができるでし
ょう。