III.死の谷とクラウド・ファンディング

政府の規制改革会議の創業に関するワーキンググループで金融庁は、新規・成長企業の問題点の一つと して「死の谷」の問題を挙げました。 技術やアイディアを事業化する初期の段階では、リスクマネー供給が不十分なことも一因となって事業 を軌道に乗せられないケースが多いようです。そこでインターネットで小口の資金を幅広く募集するク ラウド・ファンディングを利用した新制度を検討しているそうです。 日本では寄付など金銭的リターンを伴わない形態でのクラウド・ファンディングが中心となっています。 金融庁の構想は新規・成長産業と投資家をインターネットサイト上で結びつけ、多数の投資家から少額 ずつ資金を集める株式投資の形態です。 クラウド・ファンディングの事例としては、ニューヨーク在住の日本人監督によるドキュメンタリー映 画の日本公開の配給宣伝資金の募集があります。 当初の目標金額1000万円を超えて818人から1402万4203円を集めることに成功しました。 この映画は製作時にも、米国でクラウド・ファンディングにより資金調達を行ったそうです。 ベンチャー事業も多くのファンや支援者を集める力があれば「死の谷」を越えることができるかもしれ ません。 規制改革による後押しが期待されます。

(Webデザイナー 三嶋 由紀江)